イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」で核関連施設の防衛を担当する幹部は18日、敵対するイスラエルがイランの核施設を狙う場合、核政策の「基本原則」を見直すこともあり得ると発言した。イランメディアが伝えた。イスラエルがイランに対する報復攻撃を検討する中、核の軍事利用の可能性を示唆することで抑止を図る狙いがあるとみられる。
報道によると、この幹部は「シオニスト(イスラエル)の核施設を特定した。必要な情報はすべてある。我々は強力なミサイルの『引き金』に手をかけている」とも発言。イランの核施設が攻撃を受ければ、対抗措置としてイスラエルの核施設に「高度な兵器で報復を加える」と主張した。
イランは長年続ける核開発について「平和利用が目的だ」と主張し、最高指導者ハメネイ師も宗教令で核兵器の製造を禁じている。しかし、欧米などからは核兵器の開発を疑われてきた。
2015年には米英仏独露中の6カ国との間で、イランが核開発を制限するかわりに制裁解除を受ける「核合意」が成立した。だが、トランプ政権当時の米国が18年に一方的に離脱。反発したイランは合意に違反する形で、核兵器の製造につながりうる高濃度のウラン濃縮を実施している。
一方のイスラエルは事実上の核保有国だが、公式には認めていない。イスラエルは、13日夜にあったイランの無人航空機やミサイルによる大規模攻撃を受けて、報復攻撃を検討しており、イランの核施設も標的の選択肢として浮上しているとみられている。
イラン側は、1日の在シリア・イラン大使館空爆をイスラエルによるものと非難し、13日の攻撃で報復したと主張している。
イランのアブドラヒアン外相は18日、米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安全保障理事会の公開会合で、イスラエルへの攻撃には「他の選択肢はなかった」と述べ、「軍事拠点のみを標的とした限定的かつ最小限のものだった」と正当化した。
さらに、「イランの合法的な防衛と対抗措置は終わった」と強調し、イスラエルによる軍事行動があった場合は「断固とした措置で対応する」とけん制した。【カイロ金子淳、ニューヨーク八田浩輔】