メキシコのバルセナ外相は5日、南米エクアドルとの断交をX（ツイッター）への投稿で明らかにした。亡命を求めていたエクアドルのグラス元副大統領をこの日、同国警察が首都キトのメキシコ大使館に踏み込んで拘束したことへの対抗措置とみられる。
発表に先立ち、メキシコのロペスオブラドール大統領は、エクアドルの警察が国際法とメキシコの主権に対する重大な違反行為を犯したと主張。グラス氏の拘束は「権威主義的な行為だ」と強調し、断交への手続きを指示していた。
ロイター通信などによると、グラス氏は反米左派コレア元大統領の下で2013～17年に副大統領を務めた。しかし、公共事業を巡る汚職事件で17年に禁錮6年の判決を受け、20年にも別の汚職事件で禁錮8年を言い渡された。グラス氏は、仮釈放中の昨年12月にメキシコ大使館に逃げ込んだ。メキシコは亡命を認めたが、エクアドル当局は拘束の許可を求めていた。
両国の関係は断交前から悪化していた。ロペスオブラドール氏は3日の記者会見で、昨年のエクアドル大統領選でのノボア大統領の勝利は有力候補の一人が暗殺されたためだと示唆。エクアドル政府は強く反発し、4日にメキシコの大使を「ペルソナ・ノン・グラータ（好ましからざる人物）」として国外追放すると発表した。【ニューヨーク中村聡也】
