モスクワ近郊のコンサートホールで22日に起きた大規模テロで、ロシア連邦捜査委員会は29日、実行犯として起訴された4人が「ウクライナの首都キーウ(キエフ)で報酬を受け取る約束だった」と発表した。事件では過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、欧米諸国もウクライナの関与を否定しているものの、プーチン政権はウクライナ関与説を強調している。
実行犯らはウクライナとベラルーシの国境に接する西部ブリャンスク州で捜査当局に拘束された。捜査委は、テロの準備や逃走は、匿名の男が通信アプリ「テレグラム」を通じて実行犯に命じていたと指摘。「実行犯はこの男の指示でウクライナ国境に逃走した」と説明している。
事件ではこれまでに144人の死亡を確認。捜査委はテロに関与したとして新たに男性1人を拘束したと明らかにした。テロを巡っては、ロシア同盟国のベラルーシのルカシェンコ大統領が「実行犯らは当初、ベラルーシに向かおうとしていた」と主張しており、情報が交錯している。【モスクワ山衛守剛】