トランプ前米大統領と一族が経営する企業が資産価値を過大申告し、不当に利益を得たとして、ニューヨーク州の裁判所がトランプ氏に4億5400万ドル（約677億円）の支払いを命じた民事訴訟で、同氏の弁護士は18日、命令の執行が猶予されるために必要な保証金を納めるのは不可能だと明らかにした。保証を引き受ける保険会社を見つけることができなかったという。米メディアが報じた。
トランプ氏は保証金を期限までに納めなければ、不動産などが差し押さえられる可能性がある。資金繰りが厳しくなっているとの見方もある。
弁護士が高裁に提出した文書によると、トランプ氏は保証を取り付けるために、5億5700万ドル相当の担保を用意する必要がある。米メディアによると、トランプ氏は数十億ドルの資産を持つが、その中心は不動産とされる。保険会社は現金などでの担保を求めているが、トランプ氏は十分な額を持っていないという。
1審判決はトランプ氏に対し、3億5490万ドルの支払いを命令。利息を含めると4億5400万ドルに上る。トランプ氏側は控訴したが、命令の執行が猶予されるためには今月25日までに全額を保険会社が保証するか、現金で納める必要がある。弁護士は、これまでに約30もの保険会社に接触したと説明。支払いを保証する会社を見つけることは「不可能だ」として、命令の執行延期を求めた。
トランプ氏側は先月末、保証金を1億ドルに減額するよう求めたが、高裁はこれを認めなかった。
11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は民事で敗訴が続いている。
1月には、性被害を主張する女性コラムニストが名誉毀損（きそん）で訴えた訴訟で、ニューヨーク連邦地裁の陪審がトランプ氏に8330万ドルの支払いを命令。トランプ氏は、保険会社を通じて9160万ドルを保証金として支払った。米紙ニューヨーク・タイムズは、現金1億ドル以上などを担保として保険会社に差し出したようだと報じている。トランプ氏は四つの刑事事件でも起訴されている。【ニューヨーク中村聡也】
大谷翔平・野球ニュース