バイデン氏がUSスチール買収に懸念表明 英紙など複数報道

　英紙フィナンシャル・タイムズなど複数の欧米メディアは13日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、バイデン米大統領が深刻な懸念を示す声明を発表する予定と報じた。ホワイトハウスから日本政府に連絡済みで、岸田文雄首相の4月のワシントン公式訪問前に発表するという。

　報道によると、声明はホワイトハウスのブレイナード国家経済会議（NEC）委員長が2023年12月に発表した声明と同様の内容。買収阻止を明言するわけではないが、買収への反対と解釈される内容になるという。

　ブレイナード氏は当時の声明で「バイデン大統領は国家安全保障と供給網への潜在的影響という観点から、厳格な審査に値すると考えている」として、安全保障上の観点から買収が対米外国投資委員会（CFIUS）の調査対象になるとの考えを示していた。

　USスチールは米製造業を象徴する名門企業で、買収には米議会の与野党議員や全米鉄鋼労働組合が反対している。同社が拠点を置くペンシルベニア州は11月の大統領選の結果を左右する激戦州の一つで、共和党のトランプ前大統領は1月に「私なら即座に阻止する」と明言していた。【ワシントン大久保渉】