ジュゴンやラッコの飼育で知られる鳥羽水族館(三重県鳥羽市)の設立者で名誉館長の中村幸昭(なかむら・はるあき)さんが12日、老衰のため伊勢市内の高齢者施設で亡くなった。96歳。葬儀は15日午後1時、JA葬祭虹のホールとば(鳥羽市若杉町762)。後日お別れの会を予定している。喪主は長女睦美(むつみ)さん。
1955年に父とともに鳥羽水族館を設立。76年に世界で初めて人工飼育下でスナメリの赤ちゃんを、84年には、日本で初めてラッコの赤ちゃんを誕生させた。80~2005年に館長を務め、鳥羽水族館を伊勢志摩観光の拠点施設に育てた。希少な海洋生物の保護や研究にも力を入れ、各国との共同調査にも尽力した。1994年に藍綬褒章、2004年に旭日小綬章。
鳥羽水族館の若井嘉人館長は「多大なる功績に敬服している。名誉館長の口癖『夢とロマン』を忘れず、これからも鳥羽水族館を盛り上げていきたい」とのコメントを発表した。
さらに、鳥羽商工会議所会頭や鳥羽市観光協会長などを務め、地元経済をけん引した。同商議所の清水清嗣専務理事は「魚も好きだが、人間も好き。ユーモアと情熱にあふれ、鳥羽のことを積極的に情報発信しておられた。こんな方は二度と現れないのではないか」としのんだ。