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大会出場中の生徒に、教員のタミフル供与 予防で服用の危険性は


 2023年冬に山形県であった全国高校総体(インターハイ)スキー大会出場中の男子生徒が自身に処方されたものでなく教員の用意した抗インフルエンザ薬「タミフル」を飲んで、体調不良を訴えていたことが判明した。学校側は教員の対応を「不適切」と認めている。副作用の恐れがあるとして医師は不用意な取り扱いに警鐘を鳴らす。

 男子生徒の関係者が毎日新聞などの取材に明らかにした。男子生徒は当時、道内の私立高スキー部に所属。今春、学校を卒業した。

 この関係者によると、23年2月の総体で北海道の複数校が同じ宿舎を利用中、男性と相部屋の生徒がインフルエンザを発症。同じく遠征中だった別の高校の教員が自身に処方されていたタミフルを取り出した。

 関係者は男性が自校の引率教員に「『持っていけ、飲め』と言われた」と主張。一方、学校側は取材に「教員は『自分で判断して飲むように』と伝えた」と説明する。男性はその後、頭痛や腹痛、発熱といった症状に見舞われた。

 症状とタミフルの服用との因果関係は不明だ。ただし、北海道医師会常任理事で清田小児科医院(札幌市)の三戸和昭院長はタミフルについて「腹痛や吐き気などの副作用があり得る」と話す。

 学校は23年5月の保護者会で経緯などを説明した。校長は取材に「対応は不適切。慎重な判断が求められた」としつつ、「大切な大会に生徒が出場できなくなるかもしれない状況で、その場で対応しようという教員の思いが強かったのかもしれない」と弁明した。

 男性の関係者は「説明責任が果たされたと思っていない。生徒の自己判断と言われても相手は子ども。渡されれば飲むだろう」と憤る。

 処方された薬を第三者に譲渡した場合、医薬品医療機器法違反に問われる可能性がある。薬は医師が症状や体質などに応じて種類を指示し、薬剤師の調剤によって処方されており、健康被害のリスクがあるためだ。

 そもそも、タミフルをインフルエンザの予防として服用するという判断は正しかったのか。三戸院長は一例として「施設で集団生活する高齢者は重症化の恐れもあるので、タミフルの予防的な服用は認められる」とする。

 一方、「受験を間近に控えた受験生が『兄弟が罹患(りかん)した』と求めることがあるが、副作用もあるので一般的に処方は簡単に認められない」と解説。医薬品の服用には慎重な判断が必要だと指摘した。【谷口拓未】

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