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致死率高い「劇症型溶連菌」 最多の昨年上回るペースで広がる


 急速に症状が進み、致死率が3~7割と極めて高いことで知られる劇症型溶血性レンサ球菌感染症が、過去最多を記録した昨年を上回るペースで広がっている。患者数は今年に入ってからの2カ月間で既に昨年の4割に達した。拡大の背景は不明だが、厚生労働省は、病原性や感染力が強いことで知られる株の調査をするなど監視を強めている。

 国立感染症研究所によると、昨年、全国で報告された患者は941人(暫定値)に上った。今年に入っても患者数は増えており、2月25日までに378人(速報値)に達した。秋田と岩手を除く45都道府県で確認されている。

 複数ある病原菌のうち、子どもを中心に咽頭(いんとう)炎を起こすA群溶血性レンサ球菌が代表例だ。感染しても風邪のような症状が多いが、まれに、年齢を問わず劇症化するケースがある。劇症化すると、多臓器不全や筋肉周辺の組織が壊死(えし)することがある。

 厚労省によると、劇症化するメカニズムは不明だという。ただ、子どもの間で咽頭炎が昨年夏から流行しており、劇症型も増えた要因の一つと指摘される。また、「A群」の中でも病原性が高いことが知られ、英国で多くの報告がある株が、国内でも確認されている。厚労省は1月、劇症型の患者から採取した株の解析を進めるよう自治体に依頼した。

 同省は「飛沫(ひまつ)や接触から感染するため、手指の消毒やせきエチケットといった基本的な感染対策が重要だ」としている。【阿部絢美】

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