国連で紛争下の性的暴力を担当するパッテン事務総長特別代表は4日、昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに越境攻撃した際、レイプを含む性的暴力が複数の場所であったと「信じるに足る根拠がある」とする報告書を公表した。ハマスの人質になっている人々に同様の暴力が続いている可能性もあるとした。
パッテン氏らは、1月末から2月中旬までイスラエルとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を訪問。5000枚以上の画像と50時間以上の映像を検証し、目撃者など30人以上に面談した。その結果、イスラエル南部の少なくとも3カ所でレイプや性的拷問など紛争に関連した性的暴力があったと示唆する情報を得られたとした。全容の把握には「数カ月から数年かかり、完全には解明されない可能性もある」との見解を示した。ハマス側はこれまで戦闘員による性的暴行を否定してきた。
一方、報告書はヨルダン川西岸のラマラでイスラエル治安部隊による、拘束するパレスチナ人に対する性的暴力を含む「非人道的な」対応への懸念にも言及した。
イスラエル政府によれば、ハマスによる越境攻撃では民間人を中心に約1200人が死亡した。一方、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区の保健当局によると、イスラエル軍の報復攻撃による死者は3万人を超えている。【ニューヨーク八田浩輔】