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「楽しみなくなる」「残念」最後の蘇民祭に惜しむ声 岩手の奇祭


 1000年以上にわたって岩手県奥州市の黒石寺(こくせきじ)で開かれてきたとされる「蘇民祭(そみんさい)」が17日夜、最後を迎えた。下帯姿の男衆が五穀豊穣(ほうじょう)と無病息災を願い、護符の入った麻製の蘇民袋を奪い合う伝統行事。最盛期には見物客を含めて約4000人が訪れた奇祭の終幕に、多くの人から惜しむ声が聞かれた。

 この日は、マツの調達が難しいなどとして、火のついた薪(まき)に上がって炎で身を清める「柴燈木(ひたき)登り」は省略するなど、規模を縮小して実施した。

 「裸参り」では「ジャッソー、ジョヤサ」と気勢を上げた男衆が境内を流れる厳寒の川に入って冷水をかぶり、お堂を巡った。その後、住職が本堂に上がって祈とうする「別当登り」などがあった。

 クライマックスはコロナ禍で4年ぶりとなる蘇民袋争奪戦。午後10時ごろ、「親方」が本堂で護符の入った蘇民袋を切り裂くと、一斉に袋と護符の奪い合いが始まり、周りは熱気に包まれた。

 終了時間まで袋を握っていた「取主(とりぬし)」は、最も御利益を受けるとされ、今年は奥州市の会社員で祭りの保存協力会青年部長の菊地敏明さん(49)に決まった。菊地さんは「普段通りに臨もうと思った。最後に取れてうれしい。記憶に残る祭りになった」と喜んだ。

 一方で、伝統行事の終幕を惜しむ声も上がった。毎年、祭りの写真を撮りに来ているという宮城県栗原市の農業、佐藤健さん(74)は「楽しみがなくなる。1年でも長く続けてほしかった」と話した。倉成淳・奥州市長は「市を代表する祭りで終わるのは残念だが、少子高齢化は時代の流れでもあり、地元の判断を尊重したい」と関係者をねぎらった。終了後は泣きながら抱き合う参加者の姿もあった。

 蘇民祭については2023年12月、藤波大吾住職(41)が「関係者の高齢化と担い手不足によって祭りの維持が困難になった」と今回を最後にすることを発表していた。来年以降、祭りはなくなるが、旧正月の護摩祈とうなどは今後も続けていくという。【湯浅聖一】

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