モーター大手、ニデック（旧日本電産）は14日、ソニー出身で副社長の岸田光哉氏（64）が4月1日付で社長兼最高経営責任者（CEO）に就く人事を発表した。任期は4年。創業者の永守重信氏（79）は会長兼CEOを外れるが、グローバルグループ代表という新たな役職に就き、代表取締役も続ける。永守氏は他社の買収などの高度な判断には引き続き関与する意向を表明。同社で長年の課題となっている後継者への権限移譲が円滑に進むか注目される。
ニデックは1973年の創業以来、永守氏が積極的なM＆A（企業の合併・買収）を進めて2023年3月期通期連結決算で売上高が2兆円を突破。30年度に売上高10兆円を目指している。車載向け事業を成長分野と見込むが、足元では電気自動車（EV）用駆動モーター「イーアクスル」の採算が中国市場で悪化し、業績を押し下げている。
ニデックは長年、有価証券報告書に「継続的な成功は主に創業者である永守氏の能力と手腕に依存してきた」との記載があり、過度な依存は「永守リスク」と呼ばれてきた。今回の社長交代を機にこのリスクは下がるのか。後継体制への移行がうまくいかずに足踏みを続けてきた経緯もあって、市場は注視している。【妹尾直道】
