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「18歳未満の面会禁止」 高齢者施設のコロナ対策は不合理?


 18歳未満は面会禁止――。新型コロナウイルスの集団感染を防ぐため、ある関西地方の特別養護老人ホームは今も年齢で面会を制限しているという。面会の効用とリスク、そのバランスはどうあるべきか。【大沢瑞季】

学校通じて感染広げるから面会NG?

 「祖母もひ孫に会えれば気持ちが明るくなるでしょうから、会わせてあげたい」。冒頭の施設に90代の祖母が入所しているという女性は、小中学生の親戚の子どもたちの顔を祖母に見せられない実情に、切なさをにじませた。

 本紙の情報提供窓口「つながる毎日新聞」に投稿したこの女性は「合理的な対策であればもちろん協力しますが、18歳未満の面会禁止は合理性に乏しく、人権とのバランスを欠いていると思います」と年齢制限に納得がいかない様子だ。

 施設は取材に応じず、年齢制限の理由は確認できない。だが、女性によれば、子どもは学校で集団生活しているため、施設は子どもから利用者への感染を懸念しているという。

「面会は元気の源」 制限は緩和の方向に

 新型コロナの感染症法上の分類が、2023年5月に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行してから8カ月あまり。他の施設はどうか。

 コロナ禍でクラスター(感染者集団)の発生を4回経験し、一時は最多60人が感染した東京都目黒区の特別養護老人ホーム「青葉台さくら苑」は同年3月、事前予約制とする1回約30分の面会を再開した。

 さらに12月には、午後2時半~4時半は予約なしで約30分の面会を可能とした。体温測定やマスク着用は必須だが、年齢制限はない。

 坂井祐施設長は「お孫さんやひ孫さんと会うのが、一番元気になるんですよ。コロナ禍で気持ちがふさぎ込んでいた利用者も、家族と会って食欲が出たり、活気が戻ったりしています」と手応えを語る。

 その上で「利用者のうれしそうな顔を見られるので、できるだけ面会を制限せず、感染リスクを減らす方法を模索しています。ホームは生活の場なので、家族と会えない状態が長く続くのは本来おかしなこと」と語った。

 世田谷区の特別養護老人ホームも、事前予約制の面会に年齢制限はない。担当者は「18歳未満を面会禁止にしても、子どもがいる職員もおり、どこまで効果があるのでしょうか」と疑問視する。

 一方、福岡市の特別養護老人ホームの担当者は「リスクを考えて、子どもの面会禁止を検討したことはある」と打ち明ける。だが、現状は年齢制限はなく、「お孫さんなどと会って喜ぶ方が多いので、体温や体調をチェックした上で面会してもらっています」と話した。

厚生労働省が面会を推奨するワケ

 厚生労働省はホームページで、高齢者施設の利用者が家族と長期間面会できない場合、認知機能の低下▽気分の落ち込み▽食欲低下――などの影響があるとして、面会を推進する。

 また、「面会は利用者の基本的権利で、家族との交流は生活の質に影響を与えます」とする専門家の見解を紹介し、感染リスクを抑えた上での面会実施を呼び掛ける。

 同省高齢者支援課は取材に「面会の実施方法は各施設の判断になるので、(年齢制限に)問題があるとも、ないとも言えません。面会者の体調を考慮し、各施設で判断してほしい」と話した。

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