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災害時のSNSなど偽情報対策の検討に着手 総務省が有識者会議


 能登半島地震を巡り、事実と異なる偽情報がX(ツイッター)などのネット交流サービス(SNS)に投稿され、救助や支援の妨げになったことが問題化した。こうした状況を受け偽情報への対策を検討するため、総務省は25日、インターネット上の情報流通について議論する有識者会議に新設した専門の作業部会で議論を始めた。表現の自由に配慮しつつ、どのように偽情報の拡散を防ぐかが焦点となる。有識者会議は2月から各事業者に聞き取り調査し、夏ごろまでに報告書をまとめる見通し。

 総務省の有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」とその作業部会が合同会合を開いた。作業部会の主査に就いた山本龍彦・慶応大大学院教授は会合で「表現の自由に配慮しながら、有効な偽情報の対策を具体的に検討できれば」と述べた。

 能登半島地震では、実在しない住所を挙げて架空の救助を要請する投稿や、被災者を装ってQRコードによる寄付を呼びかける投稿などが相次いだ。通信インフラの復旧作業の車両が「不審車両」とされて車種やナンバープレートが拡散されたケースもあった。

 偽情報の拡散が救助活動や支援の妨げとなることも懸念され、総務省は地震発生翌日の2日、主要なプラットフォーム事業者であるLINEヤフーやX、メタ(旧フェイスブック)、グーグルの4社に対し、不適切な投稿を削除するなど利用規約などに沿った「適正な対応」を求めた。総務省によると、XはQRコードを使った疑わしい支援要求のアカウントを凍結し、LINEヤフーやメタは明らかな偽情報を削除したという。

 それでも偽情報は絶えず、岸田文雄首相は「悪質な虚偽情報の流布は決して許されない。こうした行為は厳に慎んでもらいたい」と呼びかけている。政府は25日に決定した能登半島地震の被災者支援の対策パッケージにも偽情報対策を盛り込んだ。

 SNS上での偽情報の拡散はこれまでも問題になってきた。ただ、Xが昨夏からフォロワーと表示回数(インプレッション)が多いアカウントに広告収益を配分する仕組みを導入したことが、今回の能登半島地震で「偽情報の拡散に拍車をかけている」との指摘もある。インプレッションを稼ぐためにフォロワー数の多いアカウントや閲覧数の多い投稿に対して無意味な投稿を繰り返す行為が横行しているためだ。

 現行制度では、偽情報など不適切な投稿については事業者が自ら削除の是非を判断する「自主規制」が採用されている。一方、政府が偽情報を判断して事業者に削除を要請するような規制強化は、憲法が保障する「表現の自由」を侵害する恐れもある。有識者会議の今後の議論では、偽情報対策の実効性と、表現の自由のバランスをどう取るかが焦点の一つになりそうだ。

 この日の会合では、今後の議論の方向性として、表現の自由・知る権利▽多様性・包摂性▽法の支配・民主主義▽公平性・公正性▽真正性・信頼性▽安心・安全▽オープン・透明性・アカウンタビリティー(説明責任)▽プライバシー保護▽グローバル・国際性――を踏まえて、情報発信者や受け手の役割、責務を検討していく方針が示された。

 有識者からは「欧米では選挙に関する偽情報など民主主義自体に影響を及ぼすものがある。能登半島地震では生命身体の保護にも直結するような事態もある。表現の自由に偏り過ぎないような調整が必要だ」といった指摘が出た。【道永竜命】

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