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能登半島地震 文化財5県で256件被害 全容把握難しく


 能登半島地震では、歴史的建造物や美術工芸品などの文化財も被災した。文化庁によると、23日までに富山、新潟、石川、岐阜、三重の5県で、国や自治体が登録・指定した文化財計256件に被害があった。石川県の能登地方を中心に被害状況が明らかになっていない地域もあり、さらに増える恐れがある。

 「文化財なので折れた柱でも専門家に聞かないと処分できない」。石川県輪島市・門前町地区にある「曹洞宗大本山 総持寺祖院」の副監院、高島弘成(こうじょう)さん(50)はもどかしそうに話した。1日の地震で国の登録有形文化財に指定された回廊など、17の歴史的建造物すべてが被害を受けた。登録有形文化財の他にも前田利家の妻まつを祭る芳春院などの建物が全壊したり、参道の石畳がめくれ上がったりしている。

 総持寺祖院は2007年の能登半島地震でも被災し、3年前に修復と耐震工事を終えたばかりだった。高島さんは「地盤の深いところで変化があったようだ。余震や積雪の重みで傾きがさらに大きくなったように見える」と話す。専門家の助言を受けながら応急処置をしなければと思っているが、余震が続く中で建物内には立ち入れず、降雪もあって手がつけられないでいるという。

 文化庁によると、各県への照会結果を基にまとめた23日正午時点の文化財被害の内訳は▽富山94件▽新潟85件▽石川74件▽岐阜2件▽三重1件。石川県文化財課によると、被害の大きかった奥能登地方の市町からは一部しか正式な報告を受けていないという。担当者は「無理もないと思う。個別に被害を把握している文化財もあるが、現時点で全容把握は難しい。状況をみながら相談の受け付けや保存の呼びかけを始めている」と話す。

 東北大災害科学国際研究所(仙台市)の推計によると、石川県で震度5弱以上を観測した地域にある国や県の指定文化財677件のうち4分の1以上の199件が震度6以上の観測地域に含まれ、倒壊や破損の危険性があるという。

 新潟県文化課は県内の被害を一通り把握したものの、積雪で現地確認ができない文化財もあり「今後件数が増える可能性もある」と言う。このうち新潟市南区の国重文「旧笹川家住宅」は、土蔵の壁がはがれるなど破損が激しく、当面の間休館することを決めた。南区によると、建築士の診断では倒壊の危険性はないとみられ、安全確認が終わり次第再開するという。

 富山県も文化財が多い市では実態調査が追いついていないという。

 文化庁は12日から石垣の崩れなどが見つかった金沢市の金沢城や兼六園など、石川県と富山県への職員派遣を開始。今後、新潟県にも派遣し被害情報を収集する。

 東北大災害科学国際研究所の蝦名裕一准教授(災害史)は「文化財などの文化遺産はふるさとを形づくるものであり、地域の人々の復興のために必ず必要になる。被災した文化財の所有者は、可能な範囲でブルーシートをかけたり保管場所を変更したりして本格的な文化財レスキューが入るまでしのいでほしい」と話している。【高木香奈】

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