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着服、詐欺で逮捕・起訴の弁護士 11年間で48人、総額37億円


 依頼人らから預かった現金を着服したり、だまし取ったりして逮捕や起訴された弁護士が2013年以降の11年間で、少なくとも全国で48人に上り、被害総額が計約37億円になることが毎日新聞の調査で判明した。日本弁護士連合会(日弁連)は13年以降、不正防止対策を強化してきたが、弁護士への信頼を揺るがす事件がやまない。逮捕や起訴はされていないものの、同種の行為で懲戒処分を受けた弁護士も多数おり、48人は「氷山の一角」だ。日弁連は対策強化を検討している。

 毎日新聞は、警察発表や起訴状などを基に13年1月~23年11月に業務上横領や詐欺の疑いで逮捕や起訴された弁護士の数を集計した。

 逮捕や起訴された48人が所属していたのは大阪や東京、福岡などの18弁護士会。成年後見人として管理していた財産や、遺言執行者として預かっていた相続財産、交通事故の賠償金などを着服するなどしていた。立件された被害額が1億円を超える弁護士が9人おり、最も多いのは岡山県の弁護士が約9億円を着服した事件だった。着服やだまし取った金を借金の返済や事務所の運転資金などに充てたケースが多かった。

 弁護士に対する懲戒処分についても調べた。各弁護士会や日弁連は除名や退会命令などの懲戒処分をした場合、日弁連の月刊機関誌「自由と正義」に内容を掲載している。21年1月~23年11月の約3年間の掲載分を集計した結果、逮捕や起訴された48人とは別に、100万円以上の預かり金などを依頼者に返還しなかったとして懲戒処分を受けた弁護士は20人、被害総額は計約2億5000万円だった。

 日弁連は各弁護士会などから懲戒処分を受けた弁護士の総数は把握しているが、その内容別の人数や、逮捕、起訴された人数は「公表できる形では集計していない」としている。

 弁護士の不祥事が相次いだため、日弁連は13年に「預り金等の取扱いに関する規程」を設け、預かり金は専用の口座で管理することを義務化。17年にはその専用口座について預かり金口座であるよう明示することを義務付け、苦情が相次いだ場合には弁護士会が口座の入出金記録などを調査できることを規程に盛り込んだ。だが、その後も不正は相次いでいる。

 日弁連の担当者は「(さまざまな)対策で一定の効果は出ていると認識しているが、さらなる不祥事防止策を講じる必要も痛感している」と話す。日弁連は、預かり金を各弁護士の専用口座で管理するのではなく、弁護士会側が設置した専用口座で管理する制度を導入できないか、検討している。

 早稲田大の石田京子教授(法曹倫理)は「預かり金口座に不審な動きがあった場合はすぐに調査できるようにすべきだ。実際に米国の一部の州では、高額の預かり金が動いた時点で依頼者や州弁護士会に通知が届き、不正を早期に察知する仕組みがある。日本の弁護士会は個々の弁護士の独立を重視して介入に抑制的だが、弁護士全体の信頼に関わる問題で、対策を強めるべきだ」と話している。【志村一也】

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