広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん（当時24歳）が過労自殺してから25日で8年。母幸美さん（60）が代理人弁護士を通じて手記を公開した。電通が今年7月、「ハラスメント撲滅・防止宣言」を発表したことに触れ、「どうしてもっと早くにそのような取り組みを行っていなかったのか本当に悔しくてなりません」と訴えた。
まつりさんが亡くなったのはクリスマスの朝だった。幸美さんは「今でもまつりがケーキを抱えて帰ってきてくれるような気がします」とつづり、待ちわびても帰ってこない悲しみを「決して癒えることはありません」と吐露した。
生きていれば32歳、入社から8年。「人生も仕事もいっぱいがんばって、たくさんの愛する人と人生を分かち合い、幸せな人生を生きていたにちがいありません」
今年は、甲南医療センター（神戸市東灘区）に勤務していた若手医師の過労死が明らかになり、宝塚歌劇団の劇団員が亡くなり遺族がパワハラを訴える事件もあった。幸美さんは「長時間労働が当たり前の医療現場や厳しい上下関係を重んじてきた劇団の文化は、当時の電通の社風が思い起こされてなりません」と指摘した。
昨年、子宮体がんと診断された幸美さん。「まつりを悲しませないように、手術をうけ、抗がん剤治療を乗り越えました」と報告し、過労死防止活動に向けて「まつりと共に力を尽くしていきたい」と締めくくった。【宇多川はるか】
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