高校入試の追試対象に月経(生理)による体調不良が加わった。文部科学省は19日、全国の都道府県などに通知した。
毎日新聞の全国アンケートで、生理について「追試対象」と回答したのは15道府県にとどまった。今回の通知で「地域差」は解消される。依然としてタブー視されがちな生理に対し、文科省がかじを切った意義は大きい。社会的な理解が広がることが期待される。
一方で、課題は残る。追試を認める統一した判断基準が示されていない。
全国アンケで「追試対象」としていた自治体の一部は「医師の診断書」を条件にしていたが、多くは基準が曖昧だった。
入試は、男性や他の受験生との公平性が求められる。受験シーズンまで約2カ月に迫る中、判断基準が委ねられる現場の教育委員会は、混乱が予想される。地域によって追試を認める条件にばらつきがでる可能性もあり、国が統一基準を示すべきではないのか。
「生理と受験」をテーマにした取材では、生理痛に苦しむ女子児童・生徒から「生理は我慢するもの」「先生にも相談しづらい」と言った声が相次いだ。産婦人科医は受験に関わらず「早急な受診」を呼び掛ける。女性特有で声が上げづらい生理に対し、学校で子どもたちが相談しやすい環境づくりを教育機関は家庭と連携し、進めていく必要がある。【宮川佐知子】