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「やけどの痕、生き地獄」人前で外せぬ手袋 京アニ公判で社員


 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われている青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第20回公判が4日、京都地裁で開かれ、負傷した従業員ら4人が法廷で意見陳述した。「やけどの痕がある限り一生、生き地獄です」。重度のやけどを負った20代の女性社員は過酷なリハビリを振り返り、悲痛な思いを語った。

 「事件の日、私の両手は突然、赤黒い肉の塊に変えられたのです」。法廷でついたてに囲まれた女性は涙声で陳述した。

 入社の希望をかなえて2年目。作画担当として毎日が楽しかった。しかし、事件で両手や顔など上半身の広範囲に重いやけどを負った。手術後に包帯を取ると、両手は変色してただれ、自分の手とは思えなかった。鉛筆すら持てず、「夢だと思いたかった」。

 3年に及ぶリハビリ生活。手に巻かれた包帯はすぐ真っ赤に染まった。「痛い」と叫びたくても、気道の熱傷で声が出せない。手袋なしでは人前に出られない。誰も見ていない時に手袋を外して手を洗うと、涙が出た。「助かって良かったとは思えない。死んでいたら、こんなつらい思いをしなくて済んだとすら思う」と声を詰まらせた。

 左手に少し後遺症が残ったが、元の部署に戻って作画作業に携わる日々が始まっている。「人々に愛される作品を作っていくことが、被告への復讐(ふくしゅう)だと思っています」と語った。

 事件の記憶は生々しく残る。炎に包まれた室内から窓に伸びるたくさんの手、悲鳴、うめき声。「熱く、痛く、自分の体が焼ける感覚を一生忘れることはない」。一緒に仕事をした同期や先輩、後輩を返してほしいと訴え、被告には「死をもって償ってほしい」と求めた。

 同じく負傷した30代男性社員は、アニメ「ツルネ」のシナリオ作りに参加した経験がある。被告が「自分の小説を盗用された」と主張する作品だ。男性は法廷で「誰もあなたの小説を読んでいない。そのようなことをする会社ではないと断言する」と語気を強め、「勝手な思い込みで36人を殺害したことを心に刻んでください」と呼びかけた。【久保聡、南陽子】

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