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宝塚劇団員死亡の調査「中立性に疑問」「偏った判断」専門家指摘


 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性が9月末に死亡した問題で、歌劇団が14日に公表した弁護士による調査報告書は長時間の業務による心理的負荷がかかっていたことを認めた一方で、上級生からのパワーハラスメントは認めなかった。報告書を巡って、専門家から中立性や事実認定のあり方を疑問視する声が出ている。

 歌劇団は女性が死亡に至った背景の調査を「大江橋法律事務所」(大阪市)に委託。「歌劇団や(運営する)阪急電鉄とは接点がない」と説明していたが、事務所には阪急電鉄のグループ企業の役員が所属していることが判明した。

 歌劇団側は「第三者委員会」ではなく「外部の弁護士チーム」と説明しているが、過労死問題の調査に詳しい笠置裕亮弁護士(神奈川県弁護士会)は「顧問弁護士の所属事務所ではないという点では外部だが、純然たる中立性には疑問が残る。位置づけが曖昧だ」と指摘。チームの構成について「せめて利害関係を疑われないため、複数の事務所の弁護士で構成すべきだった」と話す。

 さらに調査チームの事実認定の手法にも疑問を呈する。報告書は、女性の遺族が主張する上級生からのパワーハラスメントを「確認できない」と認めなかった。遺族側からLINE(ライン)の記録が提出されているが、歌劇団の村上浩爾専務理事は報告書を公表する際の記者会見で、遺族側に対して「証拠を見せていただきたい」と発言。笠置弁護士は「劇団員の中でも事実の認識がずれている部分があるのに、歌劇団側に有利な結論に至っており、判断が偏っているのではないか」と語る。

 また下級生が「新人公演」に際し、上級生に指導の「お声がけ」をしなければならないといった歌劇団独特の慣例について、報告書が「上級生への礼儀」として当然視していることも批判。「上級生と下級生の縦関係がいびつという組織風土そのものを検証せず、事実経過をなぞった表面的な評価にとどまっている」と述べる。

 報告書は、フリーランス(個人事業主)として業務委託契約を結んでいる入団7年目の女性の「労働者性」についても判断を避けた。笠置弁護士は「真剣に再発防止に取り組むなら、正面から女性が労働者であることを認め、歌劇団が労働法令の義務を果たすよう提言すべきだった」と話している。【松室花実】

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 毎日新聞では宝塚歌劇団の劇団員死亡問題に関する取材を続けています。「つながる毎日新聞」(https://mainichi.jp/tsunagaru/)まで情報をお寄せください。

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