将棋の竜王戦七番勝負（読売新聞社主催）を4連勝で防衛し、8冠達成後、最初のタイトル戦を乗り切った藤井聡太竜王（21）が第4局から一夜明けた12日、北海道小樽市で記者会見に臨んだ。
会見場に姿を現した藤井竜王は「盤上没我」と揮毫（きごう）した色紙を披露し、「盤上に没頭して集中して考える状態に常になれるわけではないが、今回のシリーズではそういう感覚も感じた。その感覚を大事にしていけたらと思い書いた」と、対局中の手応えを語った。
5冠でスタートした今年は、棋王、名人、王座を奪取する一方で、持っていた五つのタイトルを全て防衛し、年内のタイトル戦を全て終えた。この1年を「タイトルに挑戦して結果を残せてよかった。昨年より早い段階で定跡から外れる将棋が多くなった。経験の少ない将棋にうまく対応していけるかどうかがこれから一つの大きなテーマになる」と分析。「序盤からいろいろな形が指されるようになっているので、それぞれの急所をつかんで指しこなしていけるかが大事になっていく。その力を高めていきたい」と新年の目標を掲げた。
第4局2日目午前のおやつに、自身の名字と同じ「お菓子のふじい」（北海道倶知安町）の塩バター大福を選んだ理由を尋ねられると照れ笑いを浮かべ、「お店の名前を見て縁を感じ、写真の見た目もかわいらしいし、おいしそうだと思い注文した」と明かした。【丸山進】
