9月に急死した宝塚歌劇団劇団員の女性の遺族代理人が開いた記者会見を受け、演劇評論家からは「伝統」の名の下で続いてきた慣習の見直しを訴える声が上がっている。
宝塚歌劇に詳しい演劇評論家の薮下哲司さんは「『清く正しく美しく』というモットーの陰で表に出てこなかった数々の問題が、今回の劇団員の死去で一気に噴出した」とみる。
背景にあるのが、歌劇団の演劇界の中でも独特な興行体制だ。歌劇団は全員、宝塚音楽学校を経て入団。退団するまで「生徒」と呼ばれ、下級生から上級生に意見しにくい環境があるとされる。
薮下さんは「歌劇団は、行き過ぎた上下関係があるにもかかわらず、見て見ぬふりをしてきた」と指摘。遺族が訴えた新人公演の準備についても「これまでの取材で劇団員に過度な負担がかかっていると聞いており、今回のケースは氷山の一角ではないか」とし、「ジャニーズの問題などで芸能界の人権感覚が問われている中、歌劇団はしっかりと実態を調査し、一般社会では通用しない特殊な環境を見直すきっかけにしてほしい」と話した。【松室花実】
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