イスラエルのガラント国防相は9日、同国への攻撃を仕掛けたイスラム組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザ地区を「完全包囲する」と表明した。ガザへの電気や水道の供給を中止するほか、食料や燃料の輸送も遮断する。また、イスラエル軍は予備役を30万人招集したと発表しており、地上侵攻の準備を進めている模様だ。
イスラエルとハマスの戦闘による死者は9日、双方合わせて1500人を超えた。イスラエル側の死者は900人以上、パレスチナ側の死者は687人となった。イスラエルの死者は1973年の第4次中東戦争以来の規模。今回は多数の民間人の死者が含まれており、イスラエル軍の広報官は同日、「イスラエル史上最大となる市民への虐殺だ」と述べた。また、7日にガザ境界付近で開かれていた野外音楽フェスティバルがハマスの攻撃に遭い、250人以上が死亡したと明らかにした。
イスラエル軍は9日、ガザでハマスの軍事施設や行政庁舎などに対する空爆をを実施。イスラエル南部に侵入してきたハマス戦闘員との戦闘も続いている。イスラエルのネタニヤフ首相は同日、ハマスを各国でテロを繰り返してきた過激派組織「イスラム国」（IS）と同一視し、国際社会が連携して「ハマスを倒さなければならない」と訴えた。
一方、ハマスと過激派組織「イスラム聖戦」は8日、イスラエルから民間人を含む130人以上を「人質」として連れてきたと発表した。イスラエル軍が事前の警告なしに市民の住宅を空爆の標的にした場合、人質を「処刑」し、動画を公開するとしている。【エルサレム三木幸治】
