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10万円で「さびの塊」差し上げます 坂本龍馬ら乗せた船の一部


 坂本龍馬や勝海舟を乗せて幕末に活躍した蒸気船「順動丸」。新潟県長岡市は、市が指定文化財として保管する同船のシャフト(動力伝動用の回転軸)について、地元で保存処理する費用の一部を寄付で募っている。10万円以上の寄付で、シャフトに付いていた「さびの塊」をプレゼントする。幕末ファンにはたまらない「激レアグッズ」になりそうだ。

幕府が購入 1868年に長岡市沖で沈没

 順動丸は1862年、徳川幕府が英国から購入した、新造の外輪式蒸気船(全長73メートル、幅8メートル、高さ5メートル、排水量405トン)。龍馬や海舟のほか十四代将軍・徳川家茂(いえもち)や長岡藩主・牧野忠訓(ただくに)、同藩家老で司馬遼太郎の小説「峠」の主人公、河井継之助らを乗せて幕末の海を航行した船で、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(2010年)にも登場し一時、注目された。

 戊辰戦争で会津藩が幕府から借り上げ、各地の戦場に兵や武器を輸送した。1868年に寺泊沖で停泊中、新政府軍の軍艦の急襲を受け、応戦能力のない順動丸は燃料切れのため沖に逃げられず浅瀬で座礁。薩長側に奪われるのを恐れ、ひそかに船員らが爆薬を仕掛けて自爆、沈没した。

 明治期に船体は少しずつ解体され、海底から引き揚げられた2本のシャフト(各長さ4・3メートル、重さ4トン)だけが残った。近代港に変わる際には雨ざらしの状態で防波堤先端に目印のように立てかけられ、寺泊港改築時には寺泊水族博物館駐車場に門扉のように立っていた。2010年には「龍馬伝」放送に合わせ、1年間展示されて話題となったものの、その後は市の倉庫で眠っていた。

シャフトのさび塊、ペーパーウエートに

 シャフトは、左右の舷側にある水車型の外輪を回すために動力を伝える鉄製の回転軸で、蒸気で推進力を生み出す。同市は歴史的遺産を後世に残そうと、腐食の進行を防ぐため、国の補助事業を活用し保存処理に着手。事業費は総額1243万円で、このうち市の負担分735万円を目標に、ふるさと納税型クラウドファンディング(http//www.furusato-tax.jp/gcf/2545)で、12月27日まで寄付を募っている。10万円以上寄付した先着25人には、シャフトのさびの塊のペーパーウエート(たて10センチ、横5センチ、厚さ1センチ程度)をプレゼントする。さびを樹脂加工しているため長く使えるという。

糖類「トレハロース」で保存処理

 文化財の保存は、危険を伴う合成樹脂や有機溶剤を使うため、外部の専門機関に委託するのが一般的だ。しかし同市は地元で継続的に保存処理ができるよう、東北芸術工科大(山形市)の伊藤幸司・文化財保存修復研究センター教授(文化財保存科学)指導の下、自然に優しく安全な砂糖のように甘い糖類「トレハロース」で保存処理作業を進める。

 報道機関に3日公開された作業現場では、2本のシャフトはシャワー付きの巨大な水槽内に設置されていた。作業は来年3月までの予定で、最初にさびやほこりを落とし、残りのさびがはげ落ちるのを防ぐため外輪部に接着剤を注入して固め、温水に数カ月間漬けて塩分を取り除く。一定程度、塩分を抜いた後、温かいトレハロースの“風呂”に漬けて内部に浸透させる。最後に市職員らがはけとドライヤーで表面をガラス状にコーティングしながら接合、復元する。

 現場で指導に当たる伊藤教授はトレハロースによる文化財の保存技術の研究者で、昨年10月、長崎県松浦市の鷹島沖で引き揚げられた元寇船の「木製いかり」や鉄くぎの保存処理などで実績がある。トレハロースで巨大な金属製の文化財を処理するのは世界初の試みといい、「(保存処理は)永遠の命を吹き込むものではない。地元の人たちの手で処理して後世につないでいくことが大切だ。そのためにも処理後の展示、保存を適切にしてほしい」と強調した。

 磯田達伸市長は「シャフトの存在は地元の人以外には、ほとんど知られていない。寺泊の地域の宝として活用し、展示方法を考えていきたい。歴史的遺産なので私たちの手で後世に残していく。(プレゼントは)歴史ファンに記念品として大切にしてほしい」と話した。【内藤陽】

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