2022年11月に愛知県愛西市の集団接種会場で新型コロナウイルスワクチン接種後に死亡した飯岡綾乃さん(当時42歳)の遺族は4日、市に損害賠償を求めて提訴する方針を明らかにした。夫の英治さん(45)は、死亡の責任は市にあるとしたうえで「これまでの対応には誠意が感じられず、納得がいかない」と訴えている。
市の医療事故調査委員会は9月26日に公表された報告書で、飯岡さんが重いアレルギー反応である「アナフィラキシー」を起こした可能性が高いと指摘。接種後に体調が悪化した際、早期にアナフィラキシーの治療が行われていれば「救命できた可能性を否定できない」としていた。
同日の記者会見で日永貴章市長は「真摯(しんし)に受け止め、今後の体制構築や再発防止につなげたい」と述べた。その際英治さんが会見場に姿を見せ、「市からの説明がほしい」と求める場面があった。
英治さんによると、この行動などを「甚だ遺憾」として、同27日付で「抗議」と題した文書が市の代理人弁護士から送られてきた。「自分が育ち、妻も好きだと言っていたまちだから、話し合いによって歩み寄れるのではないか」と思っていたが、抗議文を受けて提訴を決めたという。
市は「現段階ではコメントできない」としている。【加藤沙波】