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インボイス制度、商店街では静かなスタート「登録しても利益出ない」


 消費税のインボイス(適格請求書)制度が1日、スタートした。商品の売り手が、消費税の適用税率や税額などを記した請求書を買い手に発行する制度だが、商店などの自営業者はどう受け止めているのか。東京都新宿区の牛込中央通り商店会(加盟65店舗)の会長で、美容院を営む大西一郎さん(63)を訪ねた。

 大西さんが経営する美容院は、牛込北町交差点近くにあり、母親と2人で営む家庭的な雰囲気だ。母親が店を開いて約40年。山の手と下町情緒が入り交じる街を見続けてきた。

 「ここの商店会は食べ物屋さんが多いのが特徴です」。大西さんはそう切り出すと、インボイス制度について口を開いた。

 「昨年の暮れ以降、制度をよく知りたい加盟店の方には『新宿区の税務担当者を呼んで勉強会をしましょう』と呼びかけましたが、『ぜひ』という人はいませんでした」

 東京メトロ東西線神楽坂駅から南へ外堀通りまで続く商店会は、家族経営の小規模な店が多い。自身も年間売り上げ1000万円以下の免税業者だ。

 「美容院は、すぐに制度に入らないといけない業種ではないし、客なら誰にでも領収書を出す仕事でもありません」

 迷いはあった。政府が推奨しているのだから制度に乗って登録してもいい。だが振り返れば、コロナ禍では政府の支援だけでは足りず、借金で賄った。加えて今回。登録すれば消費税を納めなければならず、免税が一転、「増税」になることは間違いない。

 将来にわたって消費税をきちんと納めるのは経営的に難しいし、小規模店舗を締め付けるような政策にも少し疑問を感じる――。

 公認会計士と相談した。「制度に登録して消費税を納めるだけの利益は出ない。現状を維持した方が店を存続していける」。それが結論だった。

 今のところ加盟店からの問い合わせはないが、自分と同じ選択をしたところが多いのではないかと推測している。「機会があれば、個別に意見を聞いてみようと思います」。インボイス制度は都会の真ん中で静かに始まっていた。【青木英一】

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