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歓迎会で日中要人が応酬 処理水を巡り 駐新潟の中国・新総領事着任


 中国駐新潟総領事館主催の新領事着任歓迎会が26日夜、新潟市内であった。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡る問題について、日中の要人が応酬する一幕があった。【中津川甫】

 初めに言及したのは日本側。来賓として登壇した福島県選出の菅家(かんけ)一郎衆院議員(自民)があいさつの終盤に「最後に1点だけ、総領事にお願いがある」と切り出し、原発処理水の海洋放出に触れた。

 処理水の安全性について「IAEA(国際原子力機関)のお墨付きも得ている」と強調。中国が科学的な根拠を示さず放出に反対していることを念頭に、「中国の専門家の調査団などがぜひ現地(福島)に来て、政府が示している安全基準が本当に正しいのかどうか、科学的に確認していただければありがたい」と注文を付けた。

 また放出への対抗で中国側が日本産水産物の全面的輸入禁止に踏み切った措置の撤回も要請。「私は福島県で生活をして毎日、おいしい刺し身を食べているが、元気すぎて困っているぐらい。安心して召し上がってほしいし、私を見ていただければおわかりだと思う」と福島県産の安全性をアピールし、会場の笑いを誘った。

 この発言に対し、着任したばかりの崔為磊(さいいらい)総領事が反応。来賓あいさつが終了し、和やかな雰囲気で乾杯して祝宴に入った直後に「少し時間をいただけないか」と発言し、再度登壇して反論を始めた。

 崔総領事は「核汚染水の海洋放出は海洋の環境の安全と、人類の生命、健康の維持に関わる重要な問題。日本国内にも海洋放出に反対する人が多くいる」と主張。「海洋放出は安全かどうか、一人(日本だけ)で決めることではない。中国の人々の中に大きな憤りを引き起こしており、中国の消費者には食品の安全に対する不安が現実的に存在する」と日本側の対応を繰り返し批判した。

 その上で「中国政府は海洋の安全を守り、中国人民を守る権利と責任がある。この問題を広く社会で議論していきたい」と説明。一方で解決に向けては「『東洋の人々には東洋ならではの知恵がある』と言われている。この問題も、私たちは知恵を合わせていけば、きっと解決策を見いだせると信じている」と前向きな発言もあった。

 歓迎会には、新潟県内外の政財界などから約400人が出席した。日本産水産物の安全性を巡る応酬が繰り広げられる中、中国側が用意した祝宴の料理には、板前職人がその場で握るマグロやイカなどのすしが出される場面もあった。

 菅家氏は総領事の発言後、取材に応じ「私は福島県民。国会議員として日本国民を代表して言うべきことは主張しないと駄目だと思った」と振り返った。

 一方、新潟県の首長など県内の来賓あいさつでは、一連の問題への言及はほぼなかった。花角英世知事は「国と国との間には、さまざまな難しい問題がある。しかし地方と地方、また民間レベルでの交流を進めることは、両国間の交流を進展させる原動力になる」と述べるにとどめ、直言を避けた。

 崔総領事も冒頭の主催者あいさつで、日中の分断を図る言動をけん制。「中日友好を損なう者は『歴史に残る恥ずべき柱』にくぎ付けにされるべきだ」と厳しい文言で非難した。

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