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熱々うどんのレトロ自販機 店側の献身的修理で現役続行中 新潟


 手作りのうどんやホットサンドなどを楽しめ、懐かしい雰囲気の「レトロ自販機」が人気だ。今では数少なくなったが、新潟県内では熱々のうどん、そばを提供する麺類自販機2台が稼働中で、全国からファンを集めている。うち1台は、24時間オープンのコインスナック「ペガサス」(村上市)にある。何度も壊れながらも、店員の献身的な修理で現役続行中だ。【内田帆ノ佳】

 車で国道7号沿いを走っていると、ぽつんと店が現れる。店内にはゲーム機やお菓子の自販機などが並び、昭和の空気が漂う。ここで人気なのが、店内奥の食堂脇にある麺類自販機。メニューは「天ぷらそば」と「天ぷらうどん」の2種類ある。「天ぷらそば」(税込み450円)を選ぶと、オレンジ色の数字が点灯し、25秒のカウントダウンが始まった。点灯しているのは「ニキシー管」という、ガラス管内で放電して数字を光らせる放電管で、現在はもう生産されていない。

 店によると「自販機の商品は、冷蔵庫にラップをしないで保管しているイメージ」という。店内で調理しているかき揚げは、自販機の構造上、厚みが出ないように平たく時間をかけて低温で揚げるのがポイントだ。「調理中」の表示を眺めながら、出来上がりを待つ。「ガシャン」という音の後、容器が回転し湯切りされ、お湯とつゆが注がれて出てくる。自販機の横には、「やけどにご注意ください」と手書きの注意書き。たっぷりと注がれたつゆに気を付けながら、取り出し口からのぞく薄黄色のプラスチック容器を手に取った。出来たてアツアツで、素朴な味わい。自販機に天ぷら付きのうどんとそばを補充する女性従業員は「店の大黒柱だし、なんとか動いているうちは頑張ってほしい」と願う。

 「石こうは崩れ、ネジが外れて穴が開き、もうボロボロ。従業員と知恵を出し合い、ホームセンターで材料を買って笑いながら工作している。だいぶガタがきた」。こうもらすのは同店の渡辺謙二社長(61)。1990年代、うどんとそばを提供する富士電機製の麺類自販機は製造中止に。部品の供給も終了したため、渡辺社長自ら点検と修理をこなす。「ずっと見ているから次壊れるところはだいたいわかる。あらかじめ部品を用意している」。従業員に「機械に異常はないか」と声を掛けるのが日課だ。

 渡辺社長が店の経営を引き継いだのは8年前ごろ。当初は1日10杯ほどしか売れず、購入するのは地元の農家やトラック運転手が中心だった。この頃から故障が多く、当時は「こんな機械邪魔だからいらない」と考えていた。

 風向きが変わったのは5年ほど前。レトロ自販機のブームが到来した頃だった。「昭和の趣がいい」とテレビ番組や雑誌などでレトロ自販機が特集され、県外からも客が訪れるようになった。今では1日60杯売れる日も。店内に併設する食堂が営業中でも、入り口から麺類自販機に直行する客もいるという。

 「(レトロ自販機目当てに来てくれるのは)うれしいけど、あの機械を持ち続けるのは、並大抵の気持ちではできない」。渡辺社長はそう本音を話す。それでも修理を重ね、維持し続けるのは「半分意地」と笑う。麺類自販機内部にはいくつもの修理の痕跡。「次来たら、ないかもしれませんよ」。来店客には冗談めかしてそう声を掛けている。

ペガサス

 新潟県村上市大須戸1518。自販機やクレーンゲームは24時間営業。食堂の営業時間は午前11時~午後1時半ごろ、日曜祝日定休。店内には、今となっては珍しいブルボンのスナック菓子「ポテルカ」の手動式自販機も設置されている。

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