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福井のそば店「参拝」し押印 御朱印ならぬ御蕎印登場


 「福井のそば文化は日本一」。そう断言する関東の男性が、福井県内のそば店を巡ってもらおうと、御朱印ならぬ「御蕎印(ごきょういん)」を考案した。賛同した各そば店に独自の印章をデザインし、お客に集めてもらう試み。9月中旬までに15店舗が参加しており、「これだけそばの在来種が多く、人口規模に比べて店の数が多い県はほかにない。福井の豊かなそば文化を味わってほしい」と意気込む。【国本ようこ】

 男性は太陽光発電事業や地域活性化事業などを手がける「トリコレイル」(東京都)の笠原翔太社長(34)。20代の頃、仕事で福井に訪れ、冷たいつゆに大根おろしが添えられた「越前おろしそば」の味に感動した。「色が薄く、のどごしがなめらかな東京のそばに比べ、色が黒っぽくて実の味を感じる。香りも豊かで、のけぞるほど衝撃を受けた」と振り返る。

 福井県は、ネットメディア「ねとらぼ」の「『そば』がおいしいと思う都道府県ランキング」で2021年~23年の3年連続で1位に輝く「そば県」だ。だが、県米戦略課によると、うどん文化の関西圏や地理的に離れた首都圏での知名度は低いという。

 そんな状況に歯がゆさを感じていた笠原さんが、神社や寺院の御朱印をヒントにひらめいたのが「御蕎印」だ。各店で異なるポストカードサイズの御蕎印(税込み200円)を集めて楽しむ試みで、観光客の誘致にもつながると考えた。昨年6月に知人の紹介で笠原さんから企画を聞いた「あみだそば福の井」(福井市)の永見耕己店長(34)は「これまでもイベントなどであった一過性のスタンプラリーと違い、長期間楽しんでもらえる。面白いと思った」と説明する。

 ただ、懸念もあった。県によると、県内のそば店は電話帳で確認できるだけでも260軒以上(23年2月現在)あり、永見さんは「お互いライバル関係。うまく連携できるか不安だった」と明かす。

 しかし、24年の北陸新幹線の福井開業を控え「何かPRしたい」と考えていた店側の需要と合致し、参加店が徐々に増加。現在は有名ガイドブックに名前が掲載される店も名を連ねる。

 御蕎印は笠原さんが各店に店名の由来やこだわりなどを聞き取り、トリコレイルでデザイン。御蕎印を貼り付ける「御蕎印帳」(税込み3000円)も県産の越前和紙で制作した。恐竜や越前海岸の海の色など、福井の特色を表している。

 参加店の目標数は30店舗だが、「増える分には大歓迎」と笠原さん。「新幹線がつながるだけでは人は来ない。そばが『福井に行こう』という動機付けになるよう、手伝いが出来ればうれしい」と意気込んだ。

うまさの秘密は2つ

 笠原さんが感動した味の秘密はどこにあるのか。県によると、他県との大きな違いの一つが「そばの実」だ。福井では、安定的な収量のため品種改良された種ではなく、改良種に比べ収穫量が低いが香りが高いと評価される在来種の栽培が県下全域で盛ん。その数は22種以上で「在来種王国」とも言われる。

 また、粉のひき方もポイントだ。県内の製粉所は、殻をむいたそばの実を甘皮ごとすべてひいてそば粉にする「挽(ひ)きぐるみ」が主流。そばの実の中心部分を用いた「更科粉」などに比べ香りを強く感じられる特徴がある。機械で高速でひくため熱が生じ、風味を落とすと言われる「ロール挽き」ではなく、時間はかかるがうまみや香りが飛びにくいとされる石臼びきが一般的な事も重要な点だという。

 県は02年から、福井のそばの流通と消費を目的に、使用するそば粉が県産100%の店を「おいしい福井県産そば使用店」とする認証制度を開始。県内95店、県外28店が認証されている。担当者は「味を知れば満足してもらえると自負している。認証制度を続けながら他の観光資源と共にアピールしていきたい」と話した。

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