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やけに丁寧な電話、気をつけて 詐欺急増、京都府警が容疑者の音声公開


 「どなたかに百貨店でのお買い物を頼んでいらっしゃいますか?」。丁寧な口調に思わず耳を傾けてしまう。実はカードの入手をもくろむ特殊詐欺の電話だ。京都府内で高齢者らを狙った特殊詐欺の認知件数が急増している。府警は容疑者の音声データを公開するなどし、被害防止に力を注ぐ。

被害・前年同期比13件増

 府警のホームページにあるサイト「犯人の声を公開」。役所職員、警察官、息子などをかたる特殊詐欺事件5件の容疑者の音声データをアップしている。

 7月27日午後、京都市南区に住む一人暮らしの女性(84)宅に電話があった。冒頭の言葉は百貨店員をかたる男のものだ。男は「(女性名義の)クレジットカードを使って商品券を購入しようとした女性がいた」「個人情報が漏れ、偽造カードが作られている可能性がある」と畳み掛ける。女性は電話の表示番号に見覚えがなく詐欺を疑ったが「やけに丁寧で親切。話を聞いてしまった」と振り返る。「こちらから電話する」と言うと一方的に切れた。

 女性は地元の南署が開いた特殊詐欺対策の研修会に参加。同署が貸し出す自動通話録音機を電話に取り付けていた。

 2023年の府内の特殊詐欺被害は7月末までに116件(前年同期比13件増)、被害額は約3億9500万円(同約2億5900万円増)に上る。実害には至らなかった「予兆電話」は1500件(同489件増)確認されている。

 特殊詐欺は電話役、カードや現金を受け取る役、被害金を引き出す役などグループで行われる。未然防止のポイントが「入り口」の予兆電話だ。通話録音機能や警告機能がある電話は有効な撃退ツールで、南署の松尾武生活安全課長は「逮捕した容疑者も『録音されるのは嫌だ』と供述している」と指摘。府警は各署を窓口に自動通話録音機を6カ月無償で貸し出している。

 一方、金融機関やコンビニ店などは被害を防ぐ「最後のとりで」だ。

 向日町署は8月24日、架空料金請求詐欺を防いだ「ファミリーマート大山崎町円明寺店」(大山崎町)と店員の有牛雅代さん(51)を表彰した。有牛さんは7月、メモを手にした80代女性に電子マネー4万円分の購入方法を尋ねられた。女性は「(容疑者に)何か聞かれたら孫に買ってと答えるよう言われた」と話し、有牛さんは詐欺と直感して通報した。

 長岡京市、向日市、大山崎町などをカバーする同署の管内は、23年の特殊詐欺被害の発生が7月末までに13件と府内で最多。同店では積極的な客への声掛けなどで何度も被害を防いでいるという。

 府警特殊詐欺対策室の政(つかさ)聖治室長補佐は「手口と対策を知ってもらうのが大事。自分も引っかかるかもしれないと思ってほしい」と呼び掛け、「検挙と抑止の両面で対策に力を入れていく」と強調した。

 不審なケースはためらわず府警警察総合相談室(#9110)へ。府消費生活安全センター(#188)も相談を受け付けている。【水谷怜央那】

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