starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

中国の不動産最大手「碧桂園」がデフォルト回避 先行きは不透明


 中国不動産最大手、碧桂園は5日、支払いが遅れていたドル建て債券の2250万ドル(約32億円)分の利払いを完了した。ロイター通信などが報じた。碧桂園は債務不履行(デフォルト)危機を回避したものの、今後も多額の返済に追われる。中国では不動産大手、中国恒大集団が経営危機に陥った2021年夏以降、住宅販売の低迷が続いており、中国政府の対応にも注目が集まる。

 碧桂園は、8月6日が期限のドル建て債の利払いができなかったことをきっかけに資金繰り問題が表面化。30日後の最終期限である9月5日までに支払いができるかが焦点となっていた。碧桂園は4日夜に、3・5億株の第三者割当増資を発表。約50億円の資金を調達したことになり、今回のドル建て債の利払いなどに充てた模様だ。

 この間、9月2日に償還期限を迎える39億元(約780億円)の人民元建て債券の取り扱いも注目されたが、債権者による投票期限を2度延期し、償還を3年間延長することなどで合意した。だが、ロイター通信などによると、碧桂園は今回の利払い以外にも年末までに計126億元の国内債券の返済に直面する。大部分で支払いの期限延長を求めているが、先行きは不透明だ。

 長引く住宅不況に対して中国政府も対応に動き始めている。問題の発端は中国政府が20年夏に公表した不動産企業に対する融資規制だったが、中国共産党が今年7月末に開いた重要会議では「需給が大きく変化する新たな状況」との危機感を強調。今後の経済運営方針では、これまで習近平指導部が強調していた「住宅は投機の対象ではない」との文言はなかった。

 その後、中国政府は碧桂園の経営危機の表面化と合わせるように不動産に関する規制緩和を進めた。8月末、1軒目と2軒目の住宅購入時に必要な頭金の割合と住宅ローンの金利を、全国一律で引き下げた。さらに北京市など中国4大都市では、市居住者が2軒目以降を購入する際の住宅ローンの要件を緩和した。2軒目以降の購入は値上がり期待や転売を目指す投資用物件も多いが、住宅販売を促すことを優先した。

 ただ、経営危機に直面する不動産大手に対する積極的な支援策は打ち出されていない。中国当局は安易な企業救済はモラルハザードを招きかねないとの立場。また、不動産でも国有企業を優遇し、民間企業の退出を促したいとされる習国家主席の意向も背景にあるとみられる。

 こうした状況に対し、中国経済に詳しい斎藤尚登・大和総研経済調査部長は「不動産不況を軟着陸させるには、民間企業を資金面で救済することが必要だ」と指摘する。

 中国の国内総生産で不動産が占める割合は4分の1程度とされる。中国で9~10月は「金九銀十」と言われ、住宅販売の最大のかき入れ時だが「今後住宅価格が上がっていくか分からず、まだ住宅を購入する気にはなれない」(北京の賃貸住宅に住む30代会社員女性)と様子見ムードが根強い。

 不動産を資産として保有する家計や企業も多く、資産価格の下落が消費や投資意欲の下押し要因になっている。業界に融資する銀行の不良債権の増加などを通じて、金融リスクに波及する懸念もあり、斎藤氏は「今後中国経済の低成長が常態化し、(不動産バブルが崩壊した)日本同様の『失われた20年』に陥るのでは」と警告する。

 碧桂園は23年1~6月期連結決算で、最終(当期)損益が489億元(約1兆円)の赤字に転落し、23年6月末時点の負債総額は1兆3642億元だ。碧桂園が中国国内で手がけるプロジェクトは22年末で3121件と、1241件の恒大に比べて圧倒的に多い。碧桂園の経営危機が依然くすぶるなか、今後の状況次第では中国経済の大きな転換点にもなりかねない。【重慶・小倉祥徳】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.