NHKのインターネット業務の在り方を考える総務省の有識者会議は29日、NHKによるネットでの地上波番組の配信について、「必須（本来）業務」に格上げする報告書案を示した。テレビを持たずにスマートフォンなどで番組を視聴する人には「相応の費用負担」を求めることも盛り込んだ。放送法では、NHKのネット業務は放送を補完する「任意業務」とされているため、同省は、早ければ来年の通常国会での法改正に向けた検討を進める。
報告書案では「視聴スタイルが急速に変化する中、NHKは放送という手段に加え、ネットを通じて放送番組を提供する役割を主体的に担うべき」だとした上で、本来業務化の意味について「放送番組の同時・見逃し配信を全国で提供すること」と明記した。
費用負担については、既に受信料を払っている場合や、スマホなどを持っただけでは対象としない。アプリのダウンロードやID取得など視聴のための積極的な行為があった場合を負担の要件とした。
ネット配信の範囲は「放送番組と同一のもの」と説明。その上で、NHKが「NHK NEWS WEB」「政治マガジン」といった無料の文字ニュースなども配信していることについて、こうした現在の「理解増進情報」の制度は「廃止されるべき」だとした。
NHKのネット業務の本来業務化は「民業圧迫」になると反対している日本新聞協会メディア開発委員会は、29日の有識者会議で「懸念が解消されない状況でのとりまとめは遺憾」と主張。同委員会は、多額の受信料を財源にしているとして文字ニュースの無料配信についても批判していた。【諸隈美紗稀、屋代尚則】
