表は美しく、裏は…「喰わず女房」妖怪ベンチに 柳田国男出身地

　妖怪を使った町おこしに取り組む兵庫県福崎町に29日、新たな妖怪ベンチ「喰（く）わず女房」が設置された。正面は美しくなまめかしい女性だが、裏面は歯がむき出しの大きな口で握り飯を食べている様子が表現されている。

　同町出身の民俗学者・柳田国男の著書「昔話と文学」に登場する。ご飯を食べないのによく働く女房だと思っていたら、米がどんどん減るので不思議に思ってのぞいてみると、頭部に隠していた口に次々と握り飯を放り込んでいた、という妖怪だ。造形師の守屋徹志さん（53）は「裏側が見どころなのが今まで（の妖怪ベンチ）になく斬新だ」と説明した。

　ベンチは21基目となり、辻川観光交流センター（同町西田原）に設置された。管理運営会社の箸本史朗社長（54）は「妖怪の不思議な世界観にふさわしいベンチが来てくれてうれしい。ぜひ喰わず女房に会いに来て」と呼びかけた。【喜田奈那】