野村哲郎農相は25日の閣議後記者会見で、中国の税関当局が日本からの水産物の輸入を全面的に停止すると発表したことについて「大変驚いた。全く想定していなかった」と述べた。「日本からの食品輸入の規制緩和・撤廃という国際的な動きに逆行するもので極めて遺憾だ」とし、即時撤廃を申し入れたことを明らかにした。
中国政府はこれまで、東京や福島を含む10都県の食品の輸入を停止(新潟のコメは除く)していたため、「10都県は対象になるのかなと思っていた。どのぐらい拡大していくか、すべてなのかどうかは全く想定していなかった」と述べた。
中国への水産物の輸出は2022年、国・地域別1位の871億円で全体の約22%を占める。
野村氏は、日本政府が農林水産物・食品の25年の年間輸出額2兆円達成を目指していることについては「難しい。全体の輸出が減少することは間違いなく避けられない」との認識を示した。そのうえで、国内消費の拡大や新たな輸出先の開拓など必要な対策をとると強調。「中国が輸入を禁止した分を、どこに振り向けていくのか政府全体でも検討していく」とした。【山下貴史】