足利市は21日、市ゆかりの刀剣「山姥(やまんば)切(ぎり)国広」(個人蔵、国重要文化財)の購入費3億円のうち1億円の調達を目指し実施するクラウドファンディング(CF)の概要を発表した。返礼品は、5000円~100万円の寄付額に応じて特典を得られる「共同オーナー権」。CFサイト「READYFOR」で9月1日~10月31日に募集する。
市によると、返礼品の共同オーナー権は、アート作品を複数で所有する共有持分権とは違い、所有権は伴わないという。寄付額5000円、1万円、3万円、10万円、100万円のコースがあり、オーナー証発行、限定情報の配信、デジタル上の寄付者名簿への掲載が共通特典。返礼品のない3000円、5000円の市民応援コースもある。
実質的な返礼となる特典は、例えば3万円を寄付すると、オーナー証は5年間有効で、特別展の図録代や市立美術館入場料が2割引に。100万円の場合、刀の手入れ見学会(年1回)や限定内覧会への招待、特別展図録の贈呈などが永年続くが、オーナー証は譲渡できず、1代限りの利用となる。
10月末時点で目標額の1億円が未達成の場合、年内いっぱいをめどに延長する考え。早川尚秀市長は「多くの方々のご理解、ご賛同をいただき、10月までに達成したい」と意欲を示した。市はCFを含めた資金調達を「縷縷(るる)プロジェクト」と名付け、ふるさと納税などでも寄付を募る。返礼品にはプロジェクトのロゴマークや足利長尾氏の家紋を使った品物を予定しており、市内5社が提供に名乗りを上げた。10月2日から受け付ける。【太田穣】