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友達以上、恋人未満 人口減の地域に「関係人口」という漢方を


 「人口減を嘆く前に関係人口を増やせ」。食材付き情報誌「東北食べる通信」元編集長の高橋博之さん(49)は、著書「都市と地方をかきまぜる」(光文社新書)でそう訴える。高橋さんに関係人口の意義などについて聞いた。【聞き手・福沢光一】

 ――関係人口をどう捉えていますか。

 ◆一言で例えるなら「友達以上、恋人未満」。観光でも定住でもなく、特定の地域に主体的に関わりを持ち続ける人たちを指す。

 ――関係人口の意義とは何ですか。

 ◆地域にとって特効薬ではないが、漢方のように体質改善につながるところだ。いまは国も地方自治体も(財政問題などで)回らなくなり、「住民は自立してほしい」という時代。住民は見るだけの観客席からグラウンドに降りて自ら実践しなければならない。関係人口にカウントされる人はグラウンドに降り始めた人。例えば、行政に「おんぶにだっこ」の人口10万人の地域と、1万人だが半数が主体的に街づくりに参加する地域で活性化するのはどちらだろうか。関係人口の増加は主体的に街づくりに取り組む人が増えることを意味し、地域の体質改善と活性化につながる。

 ――関係人口を増やす仕掛けとは。

 ◆人口減少を前提として、どう社会の活力を維持、増強していくのか前向きに考えることがまず大事だ。その上で「その地域が好きだ」という選択をする人を増やす。どの地方も「自然が豊かで、食べ物がおいしい」と同じことをアピールしているが、私は「人」だと思う。具体的な個人の物語に、私たちは心が揺さぶられる。

 私は、東北地方の田畑や海で自然と格闘する生産者の姿や作物の歴史などを取材して冊子で紹介する「東北食べる通信」を創刊し、食材を付録として主に都会の読者に届ける事業を始めた。読者の中には、生産者とネット交流サービス(SNS)でつながり、生産現場を訪れる人も出てきた。産直サイト「ポケットマルシェ」でも消費者と生産者をつないでおり、そのやり取りは合計で500万回を超えている。

 ――事業として関係人口を維持するのは大変では。

 ◆関係人口は特定の地域に長くいる必要はなく、入れ代わり立ち代わりでよい。人と人の付き合いは相性があるので、2、3カ所の関係人口先を持ち、気の合うところと深く付き合っていけばよい。今は圧倒的に関係人口が足りない。入り口を作るのが仕事だと思う。

 ――関係人口を増やす実践として注目する地域はありますか。

 ◆山形県西川町は住民以外もバーチャルな住民になれる「デジタル住民票」を発行している。町活性化に意欲ある都市住民を「町地域おこし協力隊」に委嘱し、除雪などを手伝ってもらうなど、関係人口とタイアップした町政を進めている。

高橋博之(たかはし・ひろゆき)さん

 1974年、岩手県花巻市生まれ。青山学院大経済学部卒。岩手県議を務め、2011年岩手県知事選に出馬し落選。13年に食材付き情報誌「東北食べる通信」を創刊し編集長に就任。14年には「日本食べる通信リーグ」を創設して、「食べる通信」を全国に広める。16年、生産者と消費者をつなぐ産直サイト「ポケットマルシェ」開設。

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