三重県桑名市多度町の「三重ごみ固形燃料(RDF)発電所」で2003年8月19日、RDFの貯蔵槽が爆発し、消火作業に当たっていた消防士2人が死亡した事故から20年になる19日、発電事業を運営していた県企業庁は発電所跡の安全祈念碑前で式典を開いた。遺族や広田恵子副知事、桑名市消防本部の職員ら53人が参列し、犠牲者の冥福を祈るとともに、同様の事故が県内で起こらないよう安全を祈願した。
広田副知事は「事故の反省と教訓を決して忘れず、県のあらゆる事業で安全を最優先に取り組む。職員研修など、事故を風化させない取り組みを継続していきたい」と述べた。
県企業庁によると、発電所は02年12月に稼働開始した。市町から集めた家庭から出たごみを乾燥させ固めて製造した「RDF」を焼却して発電する仕組みで、当時は「夢のごみリサイクル」と呼ばれるなど画期的な発電事業として注目を集めたという。当初は県内の26市町村が事業に参加していた。
しかし、稼働直後に貯蔵槽のRDFが発火する火災が発生。03年7月27日に再び火災があり、8月14日には貯蔵槽内の可燃性ガスが爆発し作業員4人が重傷を負った。さらに5日後の同19日、消火作業中に再び貯蔵槽で爆発が起き、桑名市消防本部の消防士2人が死亡、作業員1人が重傷を負った。発電所の運転は19年9月に終了。県は23年3月、「02年の発火事故の原因検証を怠ったことが03年の爆発事故につながった」と総括した。
亡くなった川島章さん(当時30歳)の父、浩さん(80)は式典後、「20年という歳月がたったが、昨日のことのようによみがえってくる。消防士など危険従事者であっても、命の大切さは変わらない。安全管理をしっかりしていってほしい」と話した。【寺原多恵子】