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「台風いいこと一つもない」 お盆直撃、閑散とした観光地は落胆


 台風7号は15日、お盆休みの近畿地方を縦断し、けが人が相次いだ。鳥取市には大雨特別警報が発令された。東海道・山陽新幹線は計画運休が実施され、京阪神地区では在来線も朝から大半がストップ。交通網は一時的にマヒした状態となり、帰省客や観光客の足を直撃したが、16日はおおむね再開される見通しだ。一方、新型コロナウイルス禍からの立ち直りを期待していたものの急きょ閑散とした観光地では落胆の声が広がった。

 台風7号は書き入れ時だった近畿各地の観光地を直撃した。「『ポストコロナ』でにぎわいが戻ってくると思ったのに。台風なんて一つもいいことない」。関係者からは落胆の声が漏れた。

 「今回の台風は経営的にしんどいが、1回なら持ちこたえられる。これ以上続かないでほしい」。こう願うのは、和歌山県白浜町の旅館「紀州・白浜温泉むさし」のおかみ、沼田弘美さん(52)だ。

 近畿有数の観光地として知られる白浜町は台風7号が上陸した紀伊半島の南端に位置し、温泉を楽しめるほか、海水浴客でにぎわう白い砂浜の白良浜(しららはま)や多くのジャイアントパンダで有名なレジャー施設「アドベンチャーワールド」もある。

 白浜温泉旅館協同組合によると、7月は好天にも恵まれて加盟する23施設の宿泊者数は10万1579人を記録し、新型コロナウイルス禍前の2019年同月(10万1238人)をわずかに上回った。

 紀州・白浜温泉むさしも7月下旬から全館の8割以上が埋まり、好調が続く中で迎えたお盆休みだったが、沼田さんは「台風の影響でほぼ満室だった14、15両日の予約は3分の2がキャンセルになってしまった」と嘆く。本来なら宿泊客でごった返すはずだったロビーは閑散としていた。

 沼田さんは「コロナの5類移行後初めての夏を楽しみにしていたお客様も気の毒だ」と気遣った。

 普段は夏休みの観光客でにぎわう京都・嵐山でも大半の商店がシャッターを閉ざし、外国人旅行客がまばらに歩いているだけだった。渡月橋の近くのカフェも閑散としており、女性店長(23)は「やはりお客が少なく、日本人はほとんど来ない。アルバイトの子の安全のため、早めに店を閉めます」と話した。

 「なにわの台所」として知られ、近年は外国人旅行客の人気スポットになっている「黒門市場」(大阪市中央区)。多くの店が休業する中、鮮魚店「深廣(ふかひろ)」は通常営業を決めた。

 刺し身などを店頭で提供する「イートイン」を導入し、普段は外国人旅行客らでにぎわうが、男性店員(35)は「市場を歩く客は普段の10分の1以下。台風は仕入れにも影響するので、いいことは一つもないですよ」とこぼした。

 一方、空港と対岸をつなぐ連絡橋が通行止めになった影響で、約650人が一夜を過ごした関西国際空港。空港内では外国人旅行客の姿も目立ち、慣れない環境に疲れの色がにじんだ。

 大学生のワン・ロインさん(20)は香港から友人2人と来日し、旅行を楽しんでいた。日本の伝統建築が大好きで旅の締めくくりに大阪城を訪れる予定だったが見学をあきらめたといい、「日本にも台風が多いという情報は知っていたが、まさか直撃するとは思わなかった。残念だった」と肩を落とした。

 空港で一夜を過ごしたイタリア国籍の女性(36)は「私も友人も英語と日本語がよく分からず、台風のニュースを理解できずにとても不安だった。早く母国に帰りたい」とつぶやいた。【竹内之浩、水谷怜央那、藤河匠、斉藤朋恵】

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