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古い住宅地図で「昭和」へ 地域の歴史を知る資料に


 戦後になって発行が始まり、一見、歴史的資料としての価値がなさそうな住宅地図。しかし、再開発などで街並みは変わり、今では古い住宅地図は昔を知る大切な資料となりつつある中、富山県滑川市立博物館(同市開)は同県最古級と思われる住宅地図が見つかったと発表した。同県内ではこれまで、住宅地図の総体的な調査は実施されておらず、近藤浩二館長は「住宅地図に地域資料としての光が当たり、調査が進むことを期待したい」と発表の意図を語る。【青山郁子】

富山県最古級発見

 発見された住宅地図は、2017年に同市内の男性から寄贈されたB4判34ページのもの。縮尺は1500分の1で、手書きガリ版刷り。現存しない富山市の「郷土地学社」という会社から発行されたようだが、発行年の記載はなく、同館が記載されている公的機関の位置などをもとに調査した。その結果、1959年7月に移転した富山地方法務局滑川出張所と、翌年1月に移転した富山県中新川事務所の位置から、59年ごろの発行と推定した。

 そもそも、住宅地図は49年、地図発行の「ゼンリン」(本社・福岡県)の前身「善隣出版社」が大分県別府市の観光用小冊子に市街地の地図を付けたのが始まりとされる。その後、住宅地図は全国展開。富山県内の図書館などでも保管はされており、確認できた昭和30年代の10冊の中では、今回の滑川市のものが最古だった。しかし、過去に総体的な調査が実施されておらず、今回のように個人で所有している可能性もあり、同館では「最古級」と位置づけた。

求む!個人所蔵品

 ちなみに北陸では、56年発行の「金沢市住宅明細地図」(石川県立図書館蔵)、翌年発行の「福井市・武生市住宅明細図」(福井県立図書館)がある。滑川市立博物館は「同時期に富山市や高岡市の地図が作られていても不思議ではない」と推測し、今回の“新発見”を発表したのも「もし個人で所蔵していたら、情報提供してほしい」との思いからだ。

 現在、戦後直後の地域の歴史を調査する場合、資料がない時は地元の古老への聞き取りが中心で記憶だけが頼りだ。今回の発表にあたり、発行社について、地図に記載された住所を頼りに近所の聞き取りを実施したが、詳細は不明だった。これらのことから近藤館長は「これまで住宅地図は、最新版が発行されると古いものは捨てられることが多く、歴史資料として注目されてこなかった。今回の発表で、古い住宅地図の情報が得られれば、歴史研究に役立つことは間違いない」と話す。

 この住宅地図は9月3日まで、同館で開催中の写真展「市制70周年記念 シン・なめりかわ昭和今昔写真館」で展示中(月曜休館、入場無料)。昭和20年代後半からの昭和の写真約300点と現代の写真を比較展示。別の古地図も多く紹介している。劇場や駅など今では失われてしまった場所や建物も多く、高齢者が懐かしく見入ったり、記入用紙に思い出を書きつづったりする人もいる。近藤館長は「昭和の滑川にタイムスリップできます」と太鼓判を押す。

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