starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

校外の屋内プールで水泳授業、茨城で広がり その理由とは?


 茨城県内の公立小学校で、水泳の授業に外部の屋内プールを利用する動きが広がっている。水戸市などでは2022年度から、ひたちなか市などでは23年度から市や民間施設を利用した授業を始めた。施設の老朽化に伴い多額の修繕費や維持管理費がかかることが主な理由。学校プールの老朽化は各地で進んでおり、利用できる施設が限られる地域では1校のプールを複数校で利用するなどして乗り切ろうとしている。【鈴木敬子、長屋美乃里】

 肌寒さが残る5月末、水戸市立吉田小学校(水戸市元吉田町)の4年生約70人がバスで市立の下入野健康増進センター(同市下入野町)を訪れ、屋内プールで泳いだ。水温は30・5度に保たれており、授業を終えた湯浅美結さん(10)は「ちょうどいい温度で気持ち良かった」と笑顔を見せた。

 市教育委員会は22年度から同センターや5カ所の民間スイミングスクールを使った水泳授業を始め、23年度は義務教育学校を含む全33小学校のうち24校に拡大した。

 最大の理由は、施設の老朽化だ。市教委によると、27校で築30年がたち、毎年のようにろ過装置や給水管などの修繕が必要になった。今後も各校のプールを使い続けた場合、改築・改修費や運営費に1校当たり50年間で3億7900万円がかかると試算。学外の施設を利用すれば改築費などが不要になり、1校当たり50年間で約2億6000万円のコスト減が見込めるとしている。

天候気にせず「計画たてやすく」

 利点は他にもあるという。

 市教委は、5~12月に移動時間も含めて1コマ2時間、各学年計4回の授業を実施する計画を立てているが、天候に左右されずに行える。「授業数が足りなくなる心配をしなくて済む」「他の学習計画が立てやすい」といった声が教員から出ているという。

 また主に体育主任が行っていたプールの水質管理や気温・水温の測定などが不要になった。吉田小の猪又陽平教諭(28)は「精神的にも負担が減り、その分子供たちと遊ぶ時間が取れるようになった」と歓迎する。

 23年度から小学校と義務教育学校の全18校で民間2施設を利用するひたちなか市では、指導も民間インストラクターが行っており、更に教員負担が減っている。

自治体で差も

 しかし、両市のように複数の外部施設を利用できる自治体ばかりではない。下妻市や結城市も22年度以降、校外でのプール授業を順次導入しているが、使用できる民間施設はそれぞれ1カ所に限られる。そのため一部の学校のみでプールを改修などして近隣校と共同で利用している。下妻市教委は「民間プールの利用を増やすのも、全ての学校プールを改修するのも難しい」と話す。

 校外プールの利用は他県でも見られるようになっており、スポーツ庁は22年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)で初めて、水泳授業の実施場所を調べた。報告書によると、小学校では自校プールが81・0%で圧倒的に多かったものの、近隣の公営プールという回答も7・2%あった。民間のスイミングクラブは3・6%、近隣校のプールは2・0%だった。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.