NHKの「ニュースウオッチ9」が、新型コロナウイルスワクチンの接種後に家族が亡くなったと訴えている遺族を、コロナ感染で死亡したと受け取られるように放送した問題で、NHKは21日、取材を担当した職員ら4人を出勤停止や減給などの懲戒処分にすると発表した。処分は8月1日付。
懲戒処分は、取材を担当した報道局映像センターの職員と、上司で同センターのチーフ・リードが出勤停止14日▽番組の編集責任者で報道局チーフ・リードが減給▽番組の編集長で報道局専任部長をけん責。
担当職員は、ワクチン接種後の死亡者の遺族を「コロナ禍で亡くなった人の遺族」と伝えて問題ないという誤った認識を持ち、取材意図をインタビュー相手に明確に伝えなかった。さらに、取材相手の発言内容を踏まえずに編集した。上司らは番組試写のチェックや指導、リスク管理を怠った。
また、映像センターのセンター長（当時）ら4人を訓告、厳重注意とした。
中嶋太一理事は記者会見で「取材先や視聴者に対する真摯（しんし）な姿勢が欠けており、信頼を損ねた。深くおわび申し上げる」と謝罪。また、再発防止策として、番組やコンテンツが放送ガイドラインに沿っているかをチェックする「コンテンツ品質管理責任者」の役割を周知・徹底するとした。
この問題を巡っては放送倫理・番組向上機構（BPO）の放送倫理検証委員会が審議入りを決めたほか、遺族らがBPOの放送人権委員会に審理申し立てをしている。【諸隈美紗稀、平本絢子】
