橋の欄干の外側に立つ若い男性を発見し、飛び降りるのを防いだとして、大阪府豊中市に住む病院事務長、稲垣雅己さん(52)に兵庫県の善行表彰「のじぎく賞」が贈られた。県警宝塚署で7日にあった贈呈式で、稲垣さんは「無我夢中でした。助けられてよかった」と話した。
現場は宝塚市切畑の山間部の谷間に架かった橋。稲垣さんらによると、休暇だった6月16日午後1時40分ごろ、乗用車で橋を通りかかった際、欄干の外側のわずかなへりに立つ若い男性を目にした。車を道路脇に止め、小走りで近づいた。欄干のそばに靴がそろえて置かれ、若者は後ろ手で欄干をつかんでいた。稲垣さんは数メートルそばまで走り寄った後は刺激しないよう足取りをゆるめ、「どうしたの」と呼びかけた。しかし、反応がなかった。
「助けなきゃ」。その思いだけが頭を占めた。同様に通りかかった別の男性と一緒に若者を抱え上げ、内側の歩道に引き込んだ。宝塚署員が駆けつけたのは約10分後。その間、稲垣さんは気持ちをつなごうと話しかけ続けた。若者にけがはなかった。
表彰状を手渡した宝塚署の赤澤泰治副署長は「勇気ある行動で、感謝しかありません」とたたえた。稲垣さんは「どんな悩みごとがあったとしても、逃げ場はある。セーフティーネットは整っているので頼ればいいと、みんなが思うようになってほしい」と話した。【土居和弘】
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