IAEA事務局長、ソウルの空港で2時間足止め 処理水放出反対デモで

　国際原子力機関（IAEA）のグロッシ事務局長は8日、韓国の朴振（パク・ジン）外相や劉国熙（ユ・グクヒ）原子力安全委員長と会談する。東京電力福島第1原発の処理水放出を「国際的な安全基準に合致している」としたIAEA報告書について説明する見通しだ。

　聯合ニュースによると、グロッシ氏は7日夜、日本からソウルの金浦空港に到着。しかし、処理水放出に反対するデモ隊が出口に殺到するなどしたため、8日未明まで約2時間にわたって足止めされた。

　グロッシ氏は8日、聯合ニュースのインタビューで「韓国は民主国家であり、人々は当然、デモをできる。私がここに来た理由も、多くの人が持つ懸念を払拭（ふっしょく）するためだ」と強調。またIAEA報告書は「日本に偏向しているわけではまったくない」とも述べた。

　韓国政府は7日、海洋放出計画はIAEAの国際基準などに合致していると確認し、事実上、容認した。しかし、韓国国内では、進歩系の最大野党「共に民主党」が処理水の放出に強く反対し、国民の間にも海や水産物の汚染を懸念する声が根強い。グロッシ氏は9日に同党関係者とも面会する予定だ。【ソウル坂口裕彦】