韓国の進歩系の最大野党「共に民主党」が1日、ソウル市中心部で、東京電力福島第1原発事故の処理水海洋放出計画に反対する大規模な集会を開いた。同党の李在明（イジェミョン）代表ら党幹部が顔をそろえた。
李代表は「福島汚染水の放出に反対する。大統領と政権与党は、韓国の主権を守るために先頭に立って戦え。最後まで戦ってきれいな海を次世代に譲ろう」と演説。参加者は「福島汚染水の海洋投棄に反対する」などとシュプレヒコールを上げた。
共に民主党は国会で過半数の議席を握っており、6月30日には海洋放出の撤回を求める決議案を国会で可決させた。
これに対して、尹錫悦（ユンソンニョル）政権を支える与党「国民の力」は「科学的根拠」を重視する立場を堅持。「非科学的な扇動で、国民に怪談を広めている」と、共に民主党を批判している。処理水の海洋放出が、来年春の総選挙をにらんだ与野党攻防の材料となっている。
世論調査会社「韓国ギャラップ」が6月30日に発表した調査結果によると、処理水の放出に対して、「韓国の海と水産物の汚染を心配している」と答えた人は78％だった。市場で塩の買い占め騒動も起きていて、処理水の放出を韓国市民が不安視していることがうかがえる。【ソウル坂口裕彦】
