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軽ワゴンから猫52匹保護、死骸18匹 夫婦が車上生活、所持金110円


 群馬県下仁田町で2022年5月、車上生活をしていた50代夫婦の軽ワゴン車から猫52匹と死骸18匹が見つかった。福島県郡山市のアパートを退去させられ、栃木県を経て県内にたどり着いたという。多頭飼育崩壊状態だったとみられ、県警は夫婦を動物愛護法違反容疑で書類送検した。高崎区検は今年3月30日、妻のみ同法違反の罪で略式起訴し、高崎簡裁が同日付で罰金10万円の略式命令を出した。

 猫を保護したNPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」(高崎市)や郡山市などによると、夫婦は21年11月、家賃滞納などによって同市のアパートを立ち退いた。車で親族宅に向かう際、約70匹の猫を衣装ケースに詰めて運んだため多くが死んだとみられる。

 夫婦は生き残った猫とともに車で福島、栃木などを経由し、22年4月に下仁田町で立ち往生した。その間も手術を受けていない猫たちは不適切な飼育環境で増え続けた。

 22年5月4日、ネットワークに1本の電話が入った。「下仁田町の商業施設の駐車場で『猫をもらってくれませんか』と周囲に声をかける男女がいるらしい」。観光客から情報提供を受けた別の動物保護団体からだった。

 メンバーらが駆けつけると、はねこし峡(下仁田町)近くの駐車場に止まっている小さな黒の軽ワゴンからきついアンモニア臭が漂い、車内は猫がひしめき合っていた。同12日に全頭保護したところ成猫23匹、子猫29匹に加え、確認できただけでも18匹分の死骸が見つかった。白い毛は排せつ物で茶色に汚れ、皮膚病や風邪など体調を崩している猫も多かったという。共食いの形跡もあり、遺体はゴミなどと一緒に車内後方に積まれ、その上を猫が踏んで歩く状態だった。車内に人間が休めるスペースはなく、ネットワークの聞き取りに対し、夫婦は路上で眠っていると答えたという。所持金は110円だった。

 ネットワークは22年秋、動物愛護法違反容疑で夫婦を刑事告発した。飯田有紀子理事長は「2016年から本格的に多頭飼育崩壊の相談を受けているが、刑事告発は2例目。かなり悪質だった」と憤る。

 郡山市保健所は2021年9月ごろには多頭飼育崩壊の可能性を把握。複数回訪問して猫の引き取りや不妊去勢手術を勧めたが、夫婦はいずれも拒否した。退去時は、衣装ケースの一部が曇っていたため、穴を開けて空気を確保するよう勧めたという。担当者は「手術は飼い主の同意がなければできない。やれることはやったと思うが、法律上できないこともある」と話す。

 首都圏の団体も引き取り先を探すのに協力してくれたため、保護した猫のうち今もネットワークで世話しているのは4匹だけという。飯田さんは「動物は苦しくても被害を訴えられない。多頭飼育崩壊も含めた動物虐待について、司法や行政ももっと抑止に取り組んでほしい」と訴えた。【日向梓、渡邊薫】

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