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水蒸気の9割が「インド洋など遠方から」 九州豪雨の線状降水帯


 九州大、熊本大、東京大の研究グループが2020年7月の九州豪雨をもたらした線状降水帯を分析したところ、約9割の水蒸気が日本から数千キロ離れたインド洋やアジア大陸、太平洋から流れ込んでいたことが判明した。線状降水帯の発生メカニズムは未解明の部分が多いが、研究グループは「典型的な大気循環のパターンの一つの可能性がある」と話した。

 研究グループは九州豪雨における水蒸気の動きに着目し、「同位体領域気象モデル」と呼ばれるシミュレーションを使い、九州に流れ込んだ水蒸気の経路や量、凝結した量を分析した。その結果、同年7月3日午後3時~同4日午前5時の期間平均で、最も多かったのはインド洋や南シナ海、アジア大陸から流れ込む「アジアモンスーン起源」の57%で、太平洋高気圧の西のへりに沿ってフィリピン海や太平洋から流れ込む「太平洋高気圧起源」は32%だった。一方で日本近海の「近海起源」は10%未満だった。

 さらに、それぞれの水蒸気が異なる高度で合流、融合しながら九州に流れ込んだことで大気の状態が非常に不安定になり、積乱雲が発達しやすい状態が維持されたという。

 研究グループによると、線状降水帯発生の引き金となる水蒸気の動態に関する情報が不足していることが、線状降水帯の発生・維持のメカニズムが十分に解明されていない主因の一つという。

 研究に関わった九州大理学研究院の川村隆一教授は「今回明らかになった水蒸気の動きは、今後も似たようなことが起こり得る」と指摘。線上降水帯の予測位置がずれた場合などは、各水蒸気起源が流入した経路や高度などを検証することで、予測精度が向上するとみている。

 線状降水帯は発達した積乱雲が次々に発生して線状に連なり、同じ場所に大雨が降り続く現象。14年8月に広島市で土石流が多発した豪雨災害で知られるようになり、20年7月の九州豪雨では熊本県で球磨川が氾濫するなどし、関連死を含め81人の死者・行方不明者を出した。【山崎あずさ】

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