ウクライナのダム決壊 米高官、ロシア関与は「断定できず」

　ロシアの侵攻が続くウクライナ南部ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所の巨大ダムの決壊について、米国家安全保障会議（NSC）のカービー戦略広報調整官は6日の記者会見で、「情報収集中で何が起きたかを断定的に言うことはできない」と強調した。大規模な洪水が発生し、多数のウクライナ人が避難を強いられていることから「状況を注視している」と語った。

　ヘルソン州はロシアが昨年9月末に一方的に「併合」を宣言した東・南部4州の一つ。ダムはウクライナのほぼ中央を南北に貫くドニエプル川に設置されており、決壊で下流地域の1万7000人以上が避難を余儀なくされている模様だ。ウクライナ側は「ロシア軍が爆破した」としており、ロシア側は「ウクライナの破壊工作」と主張している。

　米NBCニュースは6日、米政府がダムの決壊にロシアが関与した可能性を示す情報をつかんでいると報じたが、カービー氏は「報道は把握しているが、断定できない」と述べた。ウクライナが近く踏み切るとされる大規模な反転攻勢への影響についても「評価するのは、時期尚早だ」と語った。【ワシントン鈴木一生】