原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題を考える「どうする?原発のごみ全国交流集会」は最終日の28日、札幌市の共済ホールで全体集会を開いた。「放射能汚染を引き起こす高レベル放射性廃棄物の地層処分を許さない」とのアピールを採択。処分方法を議論する市民参加型の組織づくりなどの「提言」をまとめた。
高レベル廃棄物を地層に埋める最終処分場候補地選定に向けた寿都町と神恵内村での文献調査実施を受け、原水爆禁止日本国民会議など3団体が27日から開催し、延べ約600人が参加した。
アピール文は両町村の調査について「次の段階に進むことがないよう力を尽くす」とし、新たな候補地探しを阻止するため「全国すべての市町村に対し、募集に応じないようアピールする」と提起。
提言では、地震が多発する日本で地層処分ができる安定した場所はないと指摘。最終処分のあり方については、省庁から独立し、市民や専門家が熟議して意思決定する委員会の設置を提唱した。
集会では処分地選定に関する討論もあり、東北大の長谷川公一名誉教授(環境社会学)は「社会的合意が欠如したまま、権力と札束で合理性を埋めている」と政府側の手法を批判。中央大の寺本剛教授(環境倫理学)は「危険であり続ける地層処分で埋めると、将来世代がごみをどう扱うか決定できなくなる。次世代と一緒に考え、コンセンサス(合意)が必要だ」と述べた。
提言は6月上旬、与野党や内閣府などに提出する予定。【安味伸一】