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鹿と大仏だけじゃない!地元会社が手がけるディープな奈良ツアー


 古都・奈良には東大寺の大仏や、飛鳥時代の豪族・蘇我馬子の墓といわれる石舞台古墳など名だたる名所がある。しかし、その影に隠れたガイドブックに載らない社寺や古墳も多い。合同会社「ちとせなら」(奈良市)は、そんな知られざる古都の魅力を紹介する“こだわりのツアー”を5月に開始した。代表で奈良市出身の岡下浩二さん(35)に狙いや思いを聞いた。【まとめ・塩路佳子】

 定員20人程度で日帰り、専門ガイドと行く奈良に特化したツアーを企画、実施しています。「レンガ積みの超絶技巧! 古墳マスターと宇陀の非公開古墳を巡る」「仏師の世界へようこそ! 奈良仏師の工房見学と斑鳩のミステリアス美仏めぐり」――などです。

 元々は奈良県内にある旅行会社「やまとびとツアーズ」で約10年間、旅の立案に携わっていました。2023年4月に「ちとせなら」を立ち上げました。奈良のイメージといえば「鹿と大仏」。しかし、もっと多角的な魅力があることを紹介したいと思っています。

知る人ぞ知る「仏像」

 例えば、知る人ぞ知る素晴らしい仏像が各地にあります。県北西部、斑鳩町の融念寺に伝わる木像の地蔵菩薩(ぼさつ)立像(拝観は予約制)もその一つ。衣を右手でつまんだ特徴的な立ち姿をしており、表情も独特です。

 5月に実施したツアーでは、仏師の解説を聞きながら作り手の視点で仏像と向き合いました。美しく見せる「黄金比」の説明に対し、頭の大きさなどを熱心に確認する参加者も。どんな道具を使い、どこに製作者の力量が現れているか、ひと味違った楽しみ方を提案できたと思います。

 地元の会社だからこそ豊かな人脈を生かし、個人では見つけられない非公開の古墳などにもアプローチできます。「歩いて巡る」ツアーにもこだわっていて、バス移動では通過してしまう石碑や灯籠(とうろう)なども案内します。奈良を深掘りし、参加者が「面白い」と共感してくれることに喜びを感じています。

 とはいえ、私自身はずっと「奈良には何もない」と思っていました。20歳まで奈良市内に住んでいましたが、遊びに行くのは大阪か京都が中心。全国から観光客が訪れる薬師寺や唐招提寺といった名刹(めいさつ)も、学校の遠足で行った程度でした。そんな私が古里を見つめ直したのは、東京に出てからです。

上京機に古里見つめ

 写真の専門学校を卒業後、東京でカメラマンのアシスタントを2年ほどしていました。写真家として独立を考えた時に「自分は何を表現したいのか」と悩み、さまざまな芸術表現を知ろうと美術館や演劇、コンサートなどに足を運びました。そんな中、東京国立博物館で一体の十一面観音菩薩立像と出会ったのです。

 奈良市の中心部から少し離れた場所にある秋篠寺の仏様で、見た瞬間に「ビビッ」と説明のつかない衝撃が走りました。私があまりに熱心に見入っていたからか、博物館の人に声を掛けられました。奈良の出身であることを伝えると、「うらやましい」と一言。何でもあるはずの東京の人が、何にもないと思っていた奈良を評価していることに驚き、古里をもっと知ってみたくなりました。

 奈良に戻ったのは、2010年の平城遷都1300年祭で盛り上がっていた時期です。各地の寺で普段は見られない秘仏の特別公開がされ、昼は仏像巡り、夜は通信制の大学で歴史や美術を勉強しました。

 奈良を代表する伝統行事、東大寺二月堂の修二会(しゅにえ、お水取り)にも行き、堂内に響く声明に耳を傾けました。お水取りには、奈良時代の752年から1250年以上も変わらない祈りがあります。奈良の深みにどんどんはまっていきました。

 歴史が生きる奈良は「奇跡のまち」です。道ばたに何気なく置かれた石に初代天皇とされる神武天皇の伝承が刻まれていたり、山中にひっそりある古墳に古代へのロマンをかき立てられたりします。私は奈良の深い魅力を知ることで、古里に誇りを持てるようになりました。県外の人はもちろん、県内の人にも「ディープな奈良」を体験してほしいと思います。

ちとせなら

 6月のツアーは「城専門ガイドと日本三大山城『高取城』登城ツアー」(3日)、「インスタ僧侶がレクチャー! 紫陽花(あじさい)の長谷寺フォトツアー」(17日)などがある。ツアーの詳細や残席の確認、申し込みはホームページ(https://chitosenara.com/)で。

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