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見積もりは予定額の99.9988% 徳島県随契に監査「苦言」


 非公表の予定額50万円に対し、契約相手の見積額は99・9988%の49万9994円――。徳島県が実施したある事業の随意契約について、予定額が察知されている可能性を包括外部監査で指摘されたことがわかった。

 「予定額を察知されていることがうかがわれる場合には、(中略)見積内容についても詳細に検討した上で見積額の適正さを判断すべきである」

 今年4月中旬、苦言とも読める「意見」を盛り込んだ包括外部監査報告書が公表された。是正措置まではいかないが、改善検討を求める項目に「意見」は付けられる。

 改善検討を求められたのは、2021年度に実施した「CO2CO2(コツコツ)エコクレジット活用事業」。地球温暖化の一因である温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出を減らそうと企画された事業だ。

 県によると、節電などに取り組んだ家庭や自治会などが前年度よりCO2の排出を削減した場合、100キロあたり1000円の排出権(クレジット)として算定し、認証する。排出権はオフセット・プロバイダーと呼ばれる仲介業者が買い取り、各家庭などは直接代金を受け取ることができる。

 この事業に精通した県内の仲介業者は当時金融機関1社のみで、県は事業委託するにあたり「相場」を探ろうと、20年にこの金融機関の担当者に聞き取りを実施。その場で示された金額が、後に予定額となる「50万円」だった。

 県は翌21年、この金融機関に契約を前提とした見積書提出を依頼し、総額49万9994円の見積書が届いた。予定額が30万円以上100万円未満の随意契約では、県のルールで3者以上を指名する必要がある。しかし他に仲介業者がいないため、県はこの金融機関から聞き取った相場をそのまま予定額とし、提出された見積書で契約したというのが実態だった。

契約した節電事業 猛暑で成立せず

 21年度に事業に参加したのは3世帯11人からなる町内会一つのみ。しかも21年度は猛暑だったため、前年の電力使用実績を下回らず、クレジットの発行も取引も成立しない結果に終わった。

 環境負荷削減への取り組みは国際的な流れで、政府は50年に温室効果ガス「実質ゼロ」を掲げる。県は県内の温室効果ガス排出量を30年度までに13年度比半減とすることを目標にしている。最新の実績値である19年度は34・3%減にとどまり、対策の強化が急務だ。

 県は22年度も、太陽光発電設備を新設した家庭などを対象に温室効果ガス削減を促す事業を実施。予定額50万円に対し、同じ金融機関が49万8300円(99・66%)の見積書を提出し、1者随意契約となった。23年度も同趣旨の事業を検討しているが、包括外部監査の報告を受け、どのような形で実施するか検討中という。【植松晃一】

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