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出生率「0・78」ショック 過酷な受験戦争が招く韓国の少子化


 夜10時。韓国・ソウル市内の道路には、車がずらりと並ぶ。塾や習い事を終えた子どもたちが、旅行用のキャリーバッグを引いて次々と乗り込んでいった。

 大きなバッグには、複数の塾をはしごするためのテキストやノートが詰め込まれているという。

 韓国の受験戦争は、日本以上に過酷だ。

 車列に加わるソウル在住の40代女性、ヨンジャさん(仮名)は言う。

 「家を売ってでも、子どもの教育を優先します。勉強には、やるべき時期があり、今がその時です」

 小学1年生の双子の男の子を育てる。塾や英語などの習い事は週6日。難関大合格に向け、既に子ども2人の受験勉強は始まっていた。

 夫婦は共働き。女性はパン作りの講師で、夫はコーヒーチェーン店の商品開発を担当する正社員。「さほど収入は高い方ではない」というが、息子2人の教育費は月24万円にのぼる。

 家計はいつも赤字。これまでの貯金を取り崩したり、祖父母から援助を受けたりして賄っているという。だが、珍しいケースではない。

 韓国には、収入より教育費の支出が上回る教育貧困層(エデュプア)という言葉がある。2011年の韓国民間シンクタンクの推計によると、エデュプアは82・4万世帯に達し、子どもの教育費を支出する世帯の13%にあたる。

 こうした現状に、日韓の社会政策に詳しい、ニッセイ基礎研究所の金明中(キム・ミョンジュン)主任研究員は「教育に投資しないのは、子どもの将来にとって申し訳ないことだと考えているのでしょう。ですが、子育ての金銭的な負担が重いことは、少子化の大きな一因です」と指摘する。

 韓国の22年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は0・78を記録した。少子化が深刻化する日本の出生率1・30(21年)を大幅に下回った。金研究員は、未来を憂える。

 「受験競争を勝ち抜かなければ幸せになれないという価値観は根深く、すぐに韓国社会が変わることはなさそうです」

 日本の首都圏でも、子どもの受験が過熱する。韓国の少子化は日本の未来なのだろうか――。【大沢瑞季】

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